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2020年5月 春の薬膳 酢料理

目からウロコの調理学

満開の桜の花もよく見ないうちに緑美しい葉桜となり、ツツジやハナミズキが咲き始めています。
今、風邪やウイルスなどの感染症予防には免疫を落とさないようにする事が重要です。
家に閉じこもりきりで、少し気分が落ち込みストレスを感じていませんか?食欲を落とさない食事を食べる事が大事です。 先月に続き、酸味の料理を紹介します。食べ物の酸味を呈する代表的な物質には、酢酸(穀物酢)、クエン酸(みかん類)、乳酸(ヨーグルト、漬物)などの有機酸があります。
食酢の調理機能の呈味性は、さわやかな味を与え、食欲をそそり、胃液の分泌を促してくれます。
今回紹介する料理には、酸味を中心にプレバイオテックスのオリゴ糖や、食物繊維を多く含む旬の野菜や果物を使用して、腸内環境改善に配慮した献立も入れています。

それでは、食酢の調理機能の1つ、たんぱく質への作用
1.鯖ずしと酢どり生姜
塩じめは、新鮮な魚に食塩を振って魚肉をしめる調理操作です。食塩の脱水とたんぱく質の変性により肉質がしまります。その後酢に漬ける事で、白く、硬く、もろく、歯切れがよく、美味しくなるのです。
魚肉や貝類を調理する前に食酢で洗うと、魚肉の鮮度低位に伴い生じるトリメチルアミンやその他の魚臭成分の生成を抑制してくれます。

また酸は、果物の果実のペクチンのゲル形成や微生物の発生を抑えてくれます。
2.苺ジャムと夏みかんのマーマレード
果実に含まれる食物繊維のペクチン、糖、酸の働きでゼリー状のとろみのある物質のジャムができます。そしてそれには加熱、煮詰めることが重要です。果実は完熟するとペクチンが多くなります。砂糖は防腐性にもなり、不純物の少ないグラニュー糖が好ましいです。例えば苺であれば、苺の香りを損なわず、風味もよいです。果実により成分は異なりますので、足りない成分を補うとよいでしょう。粉末のペクチン、クエン酸、レモン汁などを使うとよいです。 長期保存のジャムの砂糖の分量は果実の50~60%、一週間であれば35~40%、すぐ食べる場合は15%です。保存する時は、ビンを必ず煮沸消毒します。鍋にビンとフタを入れて5分は加熱します。また、ジャムを詰める時は熱いうちに入れて、さらに軽くフタをして1~2分弱火で加熱して、フタを強くしめて出来上がりです。トーストしたパン、ホットケーキ、マッフィンにも添えてください。食欲が出ます。

3.牛乳で作るカッテージチーズ
タンパク質への作用です。分離した水分は乳清です。レモン汁を追加してハチミツを入れて、ジュースやスムージーに使用してください。

4.五目焼きそば
家庭にある野菜は何でも使えます。ポイントは、同じ大きさに切ってゴマ油で炒めて使う事。最初に生姜やニンニクを入れて炒めて使うと、本場の中国料理の味の出来上がりです。食べる時に“酢”を忘れないで!かけるとサッパリ、美味しさが増します。

今回、ピンチをチャンスに!!ご家族の皆様と一緒に美味しさに挑戦してください。
健康は快食・快眠・快便。“快”が大事ですね。危機管理を忘れないでください!

目からウロコの健康学:免疫と生活習慣

現在、多くの人が新型コロナウイルスで大変な状況にあると思います。そこで、今月は予定を変えて免疫システムについて紹介します。免疫力を高めるというのは、非常に魅力的な考えです。たとえば筋肉を強くすることで、より重いものを持ち上げられたり、より遠くに飛ぶことができたりします。私達は身体を鍛えることで身体の機能が高まり、健康にもいい効果があるのではと思いがちです。免疫システムも増強すればするほどで健康になるという神話があります。しかし、免疫システムは非常に微妙なバランスを保ちながら働いているシステムなのです。そのバランスが崩れるとアレルギーや自己免疫疾患など、健康障害を引き起こすことがあります。ビタミンやミネラルを食事で推奨される量以上とると免疫システムが改善されるという神話もあり、サプリメントを多めにとる人がいます。しかし、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が不足していない場合は、ビタミンを多めに摂取することで免疫システムが改善されたり、体を守ったりするという証拠はありません。「免疫力を高める○○がいいですよ」などの情報が世の中にあふれていますが、免疫システムがうまく機能するためには、上記に書いたようにバランスが重要です。免疫細胞の数を増やすことは、必ずしも健康増進につながらないのです。
免疫システムがうまく機能する、つまり免疫をつかさどる戦士が活躍するために特定のものを与えても活躍は期待できません。戦士にはさまざまな面からのサポートが必要です。医学的には免疫システムは複雑なため、免疫システムが正常に働く機序はまだよくわかっていない部分があります。しかし、免疫システムが正常に働き、身体を環境からの攻撃から守っている人の行動から、健康的な生活習慣が重要であることが指摘されています。つまり健康的な生活戦略によりあなたの免疫システムを健康に保つことができます。具体的には表に示す健康的な生活習慣です。結局、健康維持・増進には、特別な方法はなくごく当たり前の健康習慣を送ることがなによりです。

米の漢字の成り立ち
*参考資料:Harvard medical school : Trusted advice for healthier life

健康一口メモ

  • 健康のための歩行は歩数かスピードか、どちらが重要?

    1日の歩数と歩くスピードが死亡率の低下と関連しているかどうかはまだよくわかっていません。そこで、4,840名(平均年齢56.8歳、54%が女性、36%が肥満)を対象に約1週間加速度計を装着してもらい、歩数やスピードを測ってもらいました。その後平均10年間追跡して死亡のデータを集め、歩数と死亡率の関係を分析した米国の報告です。結果は、1日あたりの平均歩数は9,124歩でした。1日あたり4,000歩の歩数をとった人の死亡率と比較して、1日あたり8,000歩の歩数の人の死亡率、1日あたり12,000歩の歩数をとった人の死亡率は、それぞれ51%、65%も低い結果でした。歩行スピードが遅い人と早い人で比較すると総歩数が同じであれば、死亡率に差はみられませんでした。この結果、1日8,000歩程度歩くと健康な老後が送れるのではないでしょうか。また早く歩くことがいいといわれていましたが、この研究では早く歩くことより歩数を延ばすことの方が寿命も延ばすためには効果があることがわかり、ゆっくりでもたくさん歩くことが大事なようです。

    JAMA. 2020;323(12):1151-1160. doi:10.1001/jama.2020.1382

  • 健康寿命を延ばす生活習慣

    喫煙や運動習慣などさまざまな生活習慣が死亡率に影響していることはこれまで報告されてきましたが、これらの生活習慣の組み合わせが健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる年齢)とどのような関連があるのかを検討したフィンランドからの報告です。これまで欧州で実施された12の研究の対象者116,043名(平均年齢43.7歳)を用いて、4つの生活習慣である喫煙、肥満指数、身体活動、アルコール消費と、40歳から75歳までの間に、2型糖尿病、冠動脈性心疾患、脳卒中、がん、喘息などの慢性疾患に罹らなかった期間(年数)との関連を調べました。その結果、最高のライフスタイルの人(禁煙、1週間に2時間30分以上運動する、標準体重、1回の飲酒が2~3合)は、最悪のライフスタイルの人(喫煙、ほとんど運動しない、肥満、1回の飲酒が4合以上)に比べ、男女とも約10年、慢性疾患に罹る年齢が遅いことがわかりました。最高のライフスタイルでなくても、標準体重で、かつ禁煙か、1週間に2時間30分以上運動するか、1回の飲酒が2~3合の3つのうち2つの習慣がある人もほぼ最高のライススタイルの人と同じ健康寿命を示しました。つまり、肥満が最も避けなくてはいけないことです。またどうしてもタバコを止められない人でも、標準体重でよく運動して、適度な飲酒なら、無病息災の年が長いということになります(しかしタバコはやはりやめた方がいいですが)。

    JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2020.0618

  • 離乳食の時期は考えて

    米国では、生後4-6か月の乳児に対しては母乳のみを与え、その後、母乳または乳児用ミルクに加えて離乳食を与えるべきと推奨されています。これまで乳児期の離乳食の早期導入は、小児肥満や免疫介在性疾患のリスクの増加と関連していることが報告されていましが、その原因はまだ十分にわかっていませんでした。おそらく乳児の腸内細菌叢の変化が関係しているのではないかと推測されていました。そこで、67名の乳児を対象に、離乳食開始時期や子どもの腸内細菌を調べて検討したアメリカからの報告です。結果は、生後3か月以内に離乳食を開始した乳児の腸内細菌は、それより遅く開始した乳児の腸内細菌に比べて生後3か月、12か月時点いずれにおいても腸内細菌の多様性が有意に高いことがわかりました。また、短鎖脂肪酸については濃度が3か月時点では差はありませんでしたが、12か月時点では、生後3か月以内に離乳食を開始した乳児の方が有意に高いことがわかりました。これまでの研究では生後3か月時点での腸内細菌の多様性が高いと、小児期の後期に過体重のリスクがあることや、成人において便の中の短鎖脂肪酸の濃度が高いと肥満、糖尿病、高血圧リスクがあることが示されています。早期に離乳食を始めた乳児の腸内細菌は乳児の健康に望ましい状態ではないことがわかり、離乳食の時期は将来の子どもの健康状態と密接に関連していることが示唆されました。

    BMC Microbiology (2020) 20:56 https://doi.org/10.1186/s12866-020-01723-9