スリランカの料理と紅茶
長女が魅せられたスリランカ。私も3年ほど遅れて魅せられた国なのです。福岡から飛行機で約10時間の距離でインド洋上に位置するスリランカは、『光輝く島』という意味があるそうです。スリランカは熱帯性モンスーン気候であるため、様々なハーブやアーユルヴェーダーの薬草が生息し、またマイルドな味で色も香りもバランスのよいセイロンティーの産地でもあります。
今回は、日常の食事を重要視して、個々人の体質に対応した伝統医学アーユルヴェーダーの料理、ホテルで料理長から学んだ5品を日本の食材でアレンジして紹介いたします。
【ハーブジュース(クリーミーグリーン)】
朝食はバランスを取るために、季節のフレッシュ野菜、胡瓜にアボガドやココナッツオイルを入れて生姜で味を調整したジュースです。
【南瓜スープ】
南瓜にニンニク、生姜、フレッシュハーブを入れて、ココナッツミルクが味の決め手となっています。
【ローストココナッツ入りロティ】
主食のパンケーキは、全粒粉に対して1/4量の小麦粉を入れて焼いた、食物繊維豊富な一品です。ローストしたココナッツを入れる事で、美味しさがグーンと増しています。
【カレーリーフペースト】
カレー粉の香りを持つリーフを、ミキサーでペースト状にして塩分で味を調整したもの。ロティと一緒に食べる料理です。今回、春の生キャベツを使用してカレー粉を少量入れて試作しました。
【緑大豆のホワイトカレー】
メイン料理は緑大豆(大豆)を下煮して、カレーリーフ、カレー粉、チリパウダー、ターメリックなど各家庭に準備されているガラムマサラで煮込んだ料理。スリランカの一般的な料理もハーブ入りのカレーが基本のようです。日本のカレーのようにご飯の上にかけず、何種類かのカレー料理を皿に入れて、右手の3本の指で上手に混ぜて食べます。
スリランカと言えば紅茶。この紅茶の研究に人生をかけ、“セイロンティーの父”と呼ばれたジェームス・テーラー氏はこの国の人々に尊敬されています。
セイロンティーには五大産地があり、①ヌワラ・エリア ②ウバ ③ディンブラ ④キャンディ ⑤ルフナです。工場見学を3か所しましたが、製造工程は大規模、小規模と異なり、様々な紅茶を楽しむことができました。味も色も香りも異なり、紅茶にはmilk powderとjaggeという砂糖があれば美味しく飲める事も知りました。
それから紅茶のグレードには、フラワリー・オレンジ・ペコ(FOP)、オレンジ・ペコ(OP)、スーチョン(S)、ブロークン・オレンジ・ペコ(BOP)、ファーニンス(F)、ダスト(D)などあり、葉が大きくて薄めに出る、葉が細かく濃く出るなど、茶葉の形状からサイズにより分類されています。
スリランカでハイティー(アフタヌーンティー)を紅茶カフェやホテルでお楽しみください。また、スリランカ世界遺産の一つシギリア・ロックの頂上に登り、森と湖に囲まれたHeritance Kandalamaホテルでカレー料理を楽しむことで、深いりラクゼーション効果も期待できるかと!!!思われます。
昨年、伝統医学アーユルヴェーダで健康管理を行っているスリランカの施設を訪問しました。そこにはミスターCTスキャンと呼ばれるドクター・ディーニッシュという有名なアーユルヴェーダの医師がおられました。左手を診察する人の前頭部にあて、瞑想でその人の頭から足先までCTスキャンのようにスキャンして、身体の異常な部位や体質の診断を行います。私の過去の病歴を彼は当然全く知らないのですが、私の持病を見事に当てました。中国医学における気功、アーユルヴェーダにおけるヨーガはどうも同じような関係にあり、気功やヨーガは伝統医学の診断能力を高める働きをしていると思われます。多くのアーユルヴェーダの医師はヨーガをしますが、瞑想で悟りの境地に達した数少ない医師はドクター・ディーニッシュのような診察ができるようです。この施設では体質診断のあとに個人個人の体質にあった三度の食事が用意され、体質改善の養生ができる施設になっています。食事は基本的には野菜や果物中心のベジタリアン食で、1日の食事のカロリーは1000kcal程度です。ほとんど調味料は使わず食材の味を楽しみます。最初は甘くも辛くもないのですが、徐々に慣れてきます。野菜や果物のジュースもでますが必ず常温です。中国医学もアーユルヴェーダも冷えた飲食は健康によくないとされているからです。日本からは若い女性がダイエットや美肌を目的に滞在することが多いとのことです。確かにこのような食事を続けていくと、身体が浄化されるような感じがします。私達のプログラムは3日間でしたが、10日間のプログラムではオイルマッサジーもあり、身体も心も癒される空間です。ご興味のある方はぜひ行かれることをお勧めします。
運動することで、認知症のリスクが低下し、記憶力を改善する研究の報告がありますが、その機序としてあるホルモンが作用していることが示唆されました。そのホルモンはイリシンというホルモンで、運動すると血液中に分泌されます。脳の中の海馬という部位は記憶力を司る場所ですが、認知症の人の脳と健常者の脳の海馬のイリシン濃度を分析して比較すると、認知症の人の海馬ではイリシン濃度が低下していることがわかりました。またβアミロイドは認知症発症に関わると物質とされていますが、5週間ほぼ毎日泳がされたマウスにこのβアミロイドの注射をすると、記憶力障害はみられませんでした。しかしイリシンを阻害する薬を投与すると、記憶力障害は予防できませんでした。研究によってイリシンの機能は、脳のシナプスを保護し、記憶力を守ることが明らかとなりました。以上から運動は確かに認知症予防に効果的な習慣であることがわかりました。
Nature Medicine volume 25, pages165–175 (2019)
夕食後2時間以内に寝る日が週3回以上あっても、血糖値には影響しないという日本の研究です。寝る直前に食事を控えることは、健康のために良いと考えられています。しかし、本当にそうなのかを検討するため、2012年、2013年、2014年に特定健康診断を受けた、糖尿病でない健康な中高年1573人(40歳から74歳)を対象に、夕食後2時間以内の就寝がHbA1cレベルにどのような影響を及ぼすのかを検討しました。その結果、夕食後2時間以内の就寝が週3回以上あっても、2年後のHbA1cの値に有意な影響をありませんでした。それよりも肥満度、血圧、血中中性脂肪、運動習慣、喫煙習慣および飲酒習慣の方がHbA1cの値に強く関連していました。以上から、夕食後にすぐに寝るのは健康によくないと悩むより、すぐ寝ても肥満度が増加しないのであれば、そんなに悩むことではないということが示唆されました。とはいえ、夕食後すぐ寝ると肥満度が上がる可能性がありますので、すぐ寝るのはできるだけ避けた方が無難でしょう。
bmjnph 2019;0:1–10. doi:10.1136/bmjnph-2018-000011
24年間の追跡研究において、全粒穀物と食物繊維の摂取と肝臓がんのリスクに関連が見られた米国の研究です。研究は、看護師健康研究と医療専門職追跡研究の参加者125,455人(女性77,241名、男性48,214名、平均年齢63.4歳)のデータを用いて検討したものです。平均24.2年の追跡調査を行い、全粒穀物の摂取の増加は有意に37%も肝臓がんリスクを低下させることがわかった。また、ふすまの摂取量の増加は、肝臓がんのリスクを30%低下させる傾向がみられた。穀類の食物繊維の摂取増加も、32%肝臓がんリスクを低下させる傾向がみられた。以上から全粒穀物の摂取増加は、米国成人集団において肝臓がんのリスク低下と関連していることが示唆された。食物繊維は便秘改善だけでなく、がん予防にも効果があることが期待されます。
JAMA Oncol. February 21, 2019. doi:10.1001/jamaoncol.2018.7159