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2017年7月 夏の薬膳 日本型薬膳料理

未病の極意

母乳中にはヒトミルクオリゴ糖という成分が含まれています。しかし乳児はこれを消化吸収することができません。ではなぜ、ヒトミルクオリゴ糖が母乳に含まれているのでしょうか。
実は、ヒトミルクオリゴ糖は乳児の腸にいるビフィズス菌を増殖させる作用があり、ビフィズス菌は乳児の健康を守る短鎖脂肪酸を産生します。ビフィズス菌と乳児は、お互い持ちつ持たれつの共生関係にあるわけです。35億年前に登場した微生物は500万年前に登場した人類より地球上では大先輩です。人類が滅んでも微生物は生き残りますが、微生物がいなくなると人類は存亡の危機に遭遇します。
現在、腸内細菌は人の生活習慣病からうつ病までさまざまな病気に関係していることがわかっています。若さを保つには多種類の腸内細菌が腸の中で生き残れる食事をすることが大事です。
そのためには食物繊維を1日約20g、できれば30g以上とるといいでしょう。日常の食生活で海藻、豆類、キノコ類、芋類、野菜、果物などを食物繊維の多い食品を自分のためにではなく、腸内細菌のためにしっかり食べて健康長寿を目指しましょう。

  • 食物繊維を多く含む食品

    海藻、豆類、キノコ類、芋類、野菜、果物など

健康一口メモ

栄養・運動・休養は健康の源です。
このコーナーでは、世界の最先端の栄養・運動・休養に関する情報をお届けします。
是非、健康生活の参考になさってください。

  • ダイエット食

    2つの食事を用意し、筋肉の脂質の減少効果がどちらが高いのかを検討したチェコの研究です。筋肉の脂質の増加は糖代謝に悪影響を及ぼします。2つの食事とは、ベジタリアン食と糖尿病食です。ベジタリアン食は野菜、穀類、豆類、果物、種実類と、低脂質ヨーグルト、糖尿病食は欧州糖尿病学会が推奨する糖尿病治療食です。2つの食事のカロリーは各対象者の体重を変えないカロリーから500kcal少ない量としました。2型糖尿病患者74名をベジタリアン食を食べる群と糖尿病食を食べる群に分け6か月間調査を行いました。その結果ベジタリアン食においてのみ筋膜下脂肪が減少し、さらに筋中脂肪はベジタリアン食でより減少しました。ベジタリアン食は糖代謝改善のみならず体重減少にも有効ではないかと示唆されています。ちなみにベジタリアン食の蛋白質、脂質、炭水化物は和食に近い構成内容です。

    出典:JOURNAL OF THE AMERICAN COLLEGE OF NUTRITION https://doi.org/10.1080

  • ビフィズス菌はメンタルへスルによい

    過敏性腸症候群は腹痛、下痢や便秘など、排便習慣の変化を伴う腸の病気で、慢性不安やうつ病の状態になることがあります。そこで、これらの問題を改善するためにビフィズス菌を摂取してその効果を検討したカナダの研究です。軽度から中等度の不安またはうつ症状を伴う過敏性腸症候群の成人44人を対象に、半数の人はビフィズス菌(ビフィドバクテリウムロングムNCC3001)を毎日摂取し、残りの半数の人はビフィズス菌が入っていないものを摂取し、10週間調査をしました。6週間後、うつ病スコアの低下が、ビフィズス菌を摂取した22人中14人(64%)、ビフィズス菌を摂取しなかった22人中7人(32%)においてみられました。ビフィズス菌摂取はうつ症状を和らげる可能性が示唆されました。

    出典:Gastroenterology  http://dx.doi.org/10.1053/j.gastro.2017.05.003

  • 脂肪の取り過ぎにはオリーブオイル

    長寿食であることが証明されている地中海料理はオリーブオイルをよく使いますが、なぜオリーブオイルが健康にいいのかよくわかっていません。そこで、動物実験をしてその機序をさぐったチリの研究で、研究者はオリーブオイルに含まれるヒドロキシチロソールに注目しました。高脂肪食(60%脂肪)のみを与えたマウスは高脂肪食にヒドロキシチロソールも与えたマウスに比べ、総コレステロールおよびLDLコレステロールの濃度が有意に上昇しました。高脂肪食は肝臓の脂肪酸合成に関与する酵素の活性を低下させ脂質異常症を引き起こす原因となりますが、ヒドロキシチロソールが酵素の低下を抑制していることが示唆されました。動物性脂肪を多く取る傾向のある方は、オリーブオイルも一緒にとるといいかもしれません。

    出典:Lipids in Health and Disease (2017) 16:64