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2019年6月 夏の薬膳 紅花料理

紅花

 紅花の原産地はエジプトですが、紅花は地中海沿岸からシルクロードを経て日本に渡来したといわれています。江戸時代には藍茜、紫根とともに代表的な染料植物として紅花は京染めなどに使われてきました。将軍吉宗は四木(桑、楮、漆、茶)三草(藍、麻、紅花)の栽培を奨励して以来、日本においてその生産を増してきました。

 山形県においても江戸時代の中期に急速に栽培が拡大されたといわれています。山形県では、紅花の栽培と加工品生産という文化的伝統を守るために、紅花を県の重要な「特用作物」と位置付け、1982年には紅花を「県の花」と制定され、紅花は山形県の県花になっています。紅花は春の雪どけを待って4月に播種され、芽が出て開花後花冠の中が鮮黄色から紅色に変化したものを採取して使われます。

 紅花は口紅や染料として珍重されてきましが、種子から作られた油はリノール酸等の必須脂肪酸を多く含むサフラワー油なのです。紅花の効能として、コレステロール低下作用、鎮静作用、鎮痛作用、中枢抑制様作用などがあることが明らかとなっています。一方、紅花の花びらは、きれいな紅色が料理の色づけによく、また健康に良い食品としても注目を集めています。抽出液には活性酵素を消去する作用があり、脳疾患の発生を抑えることが報告されています。

 紅花は、中国において中医学を基本とした薬膳の食材として使われています。中国の医学書の古典である「開宝本草」に「紅藍花」、「本草網目」においても同じく紅藍花という名で薬効がまとめられています。中医学では、紅花は婦人病薬として主に血行障害の治療に用いられ、冷え性、更年期障害に応用されていました。

 紅花は良品であれば花冠が大きく、鮮やかな紅色で黄色が少なく、しっとりとして香りがとても良い食材です。私が中国上海中医薬大学において薬膳の研修をさせていただいた時、紅花も中薬学の食療中薬の中の薬膳食材として紹介され、婦人病の食事に紅花入り薬膳も教えていただきました。その時は良質の紅花を使用していたためか、とても香りよく美味しい料理ができあがりました。その後、中国の一般の市場で紅花を購入して薬膳を作り試食しましたが、やや苦く、特異的な臭いがして紅花は苦手になりました。今回、改めて日本の紅花を水で煮て紅色を使った料理や紅花をそのまま調理食材として使うと香りよく色もよく美味しい料理ができあがりました。「紅花と甘藷のふっくら蒸しパン」、「紅花おにぎりの牛肉巻き」、「紅花と緑茶の鶏肉フリッター」、「きゅうりの紅花入り香り漬け」、「紅花入りジンジャエール」は簡単な紅花入り料理です。特に女性の方々にはおすすめです。

日本の薬草と健康:紅花

紅花は、キク科、紅花属の1年から2年草であり、その花弁は貴重な紅の天然染料の材料として使われてきました。日本では山形県最上川流域でひろく栽培されており、最近では化粧品素材や生花用として栽培されるようになりました。ベニバナに含まれる黄色色素の中で最も多い成分はサフロミンAという成分です。紅花は血流改善の漢方薬として有名で、血液のうっ滞を除き、気血のうっ滞による痛みを治す作用があり月経不順、冷え症、更年期障害などに効果があるといわれています。現代科学においては強い抗酸化作用が認められており、最近の研究では善玉コレステロールであるHDLを増加させる働きや、抗アレルギー作用、血小板凝集抑制作用などが報告されています。また紅花の種子にはポリフェノールが含まれており、血管年齢の指標でもある脈波伝播速度の改善作用を有することが報告されています。

紅花

  • 肥満でも歩く速度を早くすれば長生き

      歩く速度が速い人は遅い人に比べ、長生きすることが報告されています。そこで、肥満度も考慮して歩く速度と平均寿命の関連を検討した英国の研究です。対象者は英国の調査に登録した約47万人で、平均年齢は58.2歳でした。調査期間は2006年から10年間です。肥満度指数(体重kgを身長mで割り、もう一度身長mで割った値)を計算し肥満度別に歩行速度と平均寿命の関連を解析したところ、痩せの人も標準の人も肥満の人も習慣的な歩行速度が速い人は遅い人に比べ平均寿命が長いことがわかりました。興味深いことに歩行速度の速い人は、痩せの人も標準の人も肥満の人も、平均寿命は、男性で85.2から86.8年、女性で86.7から87.8年の範囲にありました。一方、歩く速度の遅い人はやせの人ほど平均寿命が短く、肥満度指数が20未満の平均寿命は男性で64.8年、女性で72.4年でした。このことから、痩せている人で歩く速度も遅い人が一番平均寿命が短いことになります。逆に肥満でも歩く速度が速い人は平均寿命が長いことになります。肥満とかやせとか悩むよりも、歩く速度を速めることが平均寿命延伸に効果があるといえます。

    https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2018.10.029

  • 健康的な食事は運動能力も高める

     地中海食とはオリーブオイル、野菜、果物、ワイン、豆類、魚、種実類、鶏肉などをよく取り、反対に赤肉、ソーセージ、バター、クリーム、清涼飲料、スナック菓子はあまり口にしない健康的な食事です。この地中海食を4日間食べただけで、持久力が向上したという米国の研究です。対象者は11名(女性7名、男性4名)です。参加者には地中海食を4日間食べた後5kmのランニングをしてもらい時間を測定。また別の時間に一般的な西洋型食事を4日間してもらい、同じように5kmのランニングをしてもらい時間を測定しました。その結果、地中海食を食べた後も、西洋型食事を食べた後も心拍数、運動強度は同じでしたが、5kmのランニングに要した時間は地中海食が27.09 ± 3.55分、西洋型食事が28.59 ± 3.21 となり、地中海食を食べて走ったときの時間の方が6%も短いことがわかりました。これは地中海食をわずか4日間しか食べていないにも関わらず、持久力がついたことを示唆します。つまり、持久力という運動能力を上げる食事においても、地中海食という健康な食事を食べることが重要であることを意味しています。運動するからといって、お肉だけをたくさん食べるのではなく、日頃から健康的な食事をすることが運動能力向上に意味があるといえます。

    Journal of the American College of Nutrition、https://doi.org/10.1080/07315724.2019.1568322

  • きのこが認知機能の低下を防ぐ

      きのこと認知機能の関連を検討したシンガポールの研究です。対象者は「食事と健康的な老化研究」に参加した60歳以上の663名です。調査できのこの摂取量と認知機能を調べました。その結果、きのこの摂取量が週1回未満の人に比べ、きのこの摂取量が週2回以上摂取した人は、軽度認知障害を持っている人の割合が57%低い結果でした。この原因として、きのこに含まれるエルゴチオネインと呼ばれている化合物が抗酸化能や抗炎症能を有しているため、認知機能の低下を防ぐ働きがあるのではないかと考えられています。ただ1週間に2回以上きのこを摂取している人のきのこ摂取量は300g以上となるので、かなりの量食べることが重要であると考えられます。

    Journal of Alzheimer's Disease, vol. 68, no. 1, pp. 197-203, 2019