サフランは世界一高価なスパイス!!
サフランはアヤメ科の仲間で多年性球根植物です。開花した紫色のサフランの花1輪に1本しかない雄しべの頭の部分を抜き取り、乾燥させてスパイストして利用されています。採集は開花の約2週間の間に手作業で行われているので、世界で最も高価な値が付けられ、1gのサフランを得るには約170個体の花が必要だと言われています。
外観は赤色の糸状で黄色の発色性があり、水に浸すとクロミンという色素の主成分が出て黄色くなるのです。料理に使う時は、熱湯に浸すと色が濃く出ます。そしてサフランには独特の芳香があるため、組み合わせる食材に配慮しなくてはなりません。サフランの属名はギリシャ語のkrokos(糸)に由来し、古代ギリシャ、ローマなどの地中海周辺では香水、薬、染料、食物の着色にと幅広く使われた来ました。
今回のサフラン料理は各国を旅して、現地で学んだレシピを紹介します。まず、スペインの代表的な「パエリア」です。サフランと米と魚介類の相性はバツグン!!また、南フランスのマルセイユの魚介スープ「ブイヤベース」。これは一度食べると、必ずファンになるほど美味しい黄金のスープです。それから、イタリアのミラノの「リゾット」は名物料理ですが、今回は米ではなく小麦粉を使用して「ニョッキ」を紹介します。茹でて潰した野菜に小麦粉を混ぜて茹で、ソースと和えます。野菜を沢山使ったこれらの料理の相性も良いです。また乳製品を使用したデザート、ケーキ、パンの色付に不可欠なものはサフランです。是非おためし下さい。
サフランを料理に使用するためのポイントは、大量に使用しても色が濃く出て発色が良くなるとは限りません。高価なサフランは少量づつ熱湯に入れて、色を確認しながら大事に使って、美しい黄金色の美味しい料理を完成させて下さい。
サフランはアヤメ科のサフランの柱頭及び花柱上部を乾燥したものです。サフランの栽培は歴史的にはイランやインドのカシミール地方が古く、現在ではスペイン、フランス、イタリア、日本などでも行われていますが、世界の総生産量の90%はイランが占めています。昔、欧州から中国に伝わり、漢方薬の本である『本草綱目』に「番紅花」の名で紹介されました。日本に伝来したのは江戸後期といわれています。
この『本草綱目』には「血液循環を改善する作用があり、長く服用すれば精神を愉快にする(不安を鎮める)」と書かれています。古来より婦人病の特効薬とされ、漢方医学的には活血化瘀(血液循環改善作用)の効能があるため、臨床的には月経困難症、月経痛、月経不順、更年期障害、不安神経症、冷え症など使われています。
一方、欧州でも緩和、収斂、利尿作用のあるとされ長く薬用として使われてきました。インドでは伝統医学のアーユルヴェーダで眼疾患、肝疾患、排尿困難、月経困難などの治療薬とされています。
サフラン1gを得るために必要な花の数は120個から140個ともいわれ、現在の日本市場での価格は1gが350円〜800円前後と非常に高価な漢方薬です。
参考文献:日本東洋医学雑誌 1995年 45 巻 4 号 823-831、ウチダ和漢薬
1日350グラム野菜・果物をとりましょうといわれています。60歳代の女性が最も多くの野菜・果物を食べていますが、それでも300グラムには到達していません。子どものころからの野菜・果物を沢山食べる食習慣を身に着けることが重要です。この研究は野菜をどのように出せば子どもたりの野菜摂取量が増加するかを検討したオランダの研究です。この研究では4歳から6歳までの子ども32名について、それぞれの家庭で、これまで通りの食事に野菜を1種類追加(Aグループ)、これまで通りの食事に複数の野菜を追加(Bグループ)、これまで通りの食事だけ行う(Cグループ)の3群に分け無作為に分けました。野菜追加は1週間に3回行い、5週間続けました。その結果、B群はA群やC群に比べ野菜摂取量が以前より2倍増加しました。野菜を食べてもらうには、数種類の野菜を子どもに提供した方がより食べてくれるようです。
Journal of Nutrition Education and Behavior ,Volume 51, Number 8, 2019
食塩を多く摂取すると、血管機能障害を招くことがあります。しかし、チーズを食べるとこの血管機能障害を守るかもしれないという米国の研究報告です。対象は11名の食塩を取ると血圧が上昇する食塩感受性高血圧のではない成人で、次の4種類の食事をそれぞれ8日間食べました。①低塩分無乳製品食、②低塩分高チーズ食、③高塩分無乳製品食、④高塩分高チーズ食です。低塩分食は食塩1日3.8g、高塩分食は食塩1日14gの量です。チーズは1日170gです。それぞれの食事を摂取した後に、血管機能を測定して血管の損傷の度合いを評価しました。その結果、高塩分無乳製品食の後では血管の機能は低下しましたが、高塩分高チーズ食の後では機能の低下は見られませんでした。チーズのどのような成分が血管機能障害を抑制しているかはまだ不明ですが、食塩の害をチーズが守ってくれるなら、食塩をたくさん摂取している日本人にはありがたいことです
The Journal of Nutrition, nxz205, https://doi.org/10.1093/jn/nxz205
健康的な食事を食べてもらうために、これは健康になる成分が入っているとか心臓病予防になる食事とか、健康情報を提供することがよくあります。しかし、なかなかそれだけでは健康的な食事の形成は難しいのが現実です。そこでこの米国の研究では、メニューを紹介するときに、風味を想像させる情報を提供した場合と健康情報発信した場合を比べどの程度野菜の摂取量が増加するかを検討しました。対象者は米国の5つの大学の学生食堂を利用した約14万人の学生で、6ヶ月間にわたってメニューの紹介別にそこに使用されている24種類の野菜の摂取量を調べました。その結果、味に焦点を当てて紹介したメニューは、健康に焦点を当てて紹介したメニューに比べ29%、通常の内容を紹介したメニューと比べ14%増加しました。その分野菜の摂取量も増加しました。多くの人は食事の選択をするときに、美味しさを想像させる文句に弱いということが示唆されました。健康のために、健康の情報をどんどん発信することは逆に効果であり、もっとおいしさを楽しむ情報を発信することで、最終的には健康につながることがわかりました。
Psychological science https://doi.org/10.1177/0956797619872191