寒波が九州に何度もやってきております。冷え症の方にはつらい季節です。冷え症は、現代医学ではあまり重要視されない症状ですが、中医学では重要な自覚症状の1つです。原因としては図にありますように、まず胃腸が弱って体を温める陽気が不足((脾胃陽虚)してきます。循環機能も低下して全身を温める作用も弱くなります。これにストレスなどが加わると血行障害が生じます。その結果、新陳代謝が活発にならず、血行障害の影響で身体を温める機能が全体的に低下します。このような体の状態に湿った寒波(寒邪、湿邪)などがやってくると、体内に寒さが居座り、冷え症が発症します。
対処としては、冬の冷え症は特に寒邪、湿邪による下半身の冷えや血行不良による手足の冷えが起こりやすいため、生姜やシナモンなどで身体を温め血行をよくすることが大切です。下半身の冷えには体内の余計な水分(湿)も関係していることがありますので、湿を取り除く薏苡仁(よくいにん)などを取るのもいいです。その他、ココアやヒハツ(胡椒に似た風味のスパイス)、胡椒なども冷え症改善にいいといわれています。
栄養・運動・休養は健康の源です。
このコーナーでは、世界の最先端の栄養・運動・休養に関する情報をお届けします。
是非、健康生活の参考になさってください。
高齢者の間では、「運動器の障害のために自立度が低下し、介護が必要となる危険性の高い状態」であるロコモティブシンドローム(ロコモ)などが問題となっています。そのため、65歳以上の高齢者では、「強度を問わない身体活動を毎日40分、(例:ラジオ体操10分+歩行20分+植物水やり10分)」が推奨されている。しかし、実際この運動ができる高齢者は多くないと考えられ、この運動ができないとロコモは予防できなのかという話になります。そこで、地域の高齢者63歳 から 99歳 (人数 =6,382)を対象に運動量と死亡率の関係を調査した米国の報告があります。習慣的な運動量が少し、中程度、たくさんの3群にわけるとともに、加速度メータをつけて日常生活でどれだけ動いているか(身体活動量)を測定しました。運動量が少しのグループの中で身体活動量が少ない人と高い人を比べると、高い人の死亡率は20%も低い結果となりました。つまり、習慣的な運動をあまりしていない人でも、家事などこまごま動く人の方が長生きだということです。
Journal of the American Geriatrics Society、DOI: 10.1111/jgs.15201
食べ物が人の気分に影響するのかどうかを調査した米国の研究です。インターネットを使って、成人を対象に気分や摂取する食品に関する質問を行いました。その結果、18歳から29歳までの若年成人では、肉を週3回以上食べている人は気分の高揚がみられました。肉の摂取は脳内の神経伝達物質に影響していると考えられています。一方、30歳以上の世代では、果物のように抗酸化物質を多く含む食品の摂取や、交感神経系の活性化によるストレス反応(コーヒー摂取や朝食欠食などでおこる)を防止することが気分がよい状態に関連してました。これは年をとると、生体内の活性酸素が生体を障害しやすく、ストレス反応をコントロールする力が衰えるため、これらを防ぐ食生活が気分を維持するのに重要ではないかと考えられています。
Nutritional Neuroscience ,1-11 ,Published online: 11 Dec 2017
果汁100%ジュースにも糖分が含まれていますが、血糖を過剰に上げることはないのか、糖尿病患者にはよくないのではないかという疑問があります。そこで、果汁100%ジュースが血糖にどのような影響を及ぼすのか、これまでの研究をまとめた米国の報告です。リンゴ、ベリー、柑橘類、ブドウなど果物の100%ジュースと糖尿病のリスクとなる空腹時血糖値や血中インスリン濃度との関連を検討したところ、幸いにも、果物の100%ジュースは糖尿病のリスクとは関係ないことがわかりました。ただ、調べた研究の多くは摂取期間がほとんど3ケ月間以内だったため、少なくとも短期間では影響はないことは確かなようです。
Journal of Nutritional Science (2017), vol. 6, e59, page 1 of 15