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2023年3月 3月の甘味の薬膳料理

目からウロコの調理学

3月の甘味の薬膳料理

1.3月の日本型薬膳

 3月は「弥生」とも言われていますが、3月3日の雛祭り(上巳の節句・桃の節句)を含む月なので「雛月」とも呼ばれています。中国の上巳の日が日本に伝わったとされていますが、日本においてはひな人形の「内裏雛」が飾られ、「男雛」と「女雛」の2人が1対となっています。ひな人形には神や霊が降臨するものとされ、ひな人形が娘の身代わりとなり、女の子が美しく健やかに成長されることを願うという意味が秘められているのです。また、桃は魔除けの効果を持つと信じられ、桃の花を飾る習慣があるため桃の節句とも言われています。
これらの節句の行事には料理がつきものです。3月3日の雛祭りの行事には雛あられを、そして成長と繁栄のシンボルとしての菱餅が供えられ、甘酒、蛤のお吸い物、ちらし寿司などが地域の季節の旬の食材や縁起の良い食材を使用して作られています。まさにこの行事食こそが健康に寄与する日本型薬膳そのものなのです。

2.感謝です

 3月は出会いと別れが交差する時期でもあります。「弥生」の「弥」は「すみずみまで」「どこまでも広がる」という意味があるそうです。また「生」は草木がだんだんと芽吹く時期をさす言葉だそうです。私たちが担当させていただいた「薬膳レシピのシリーズ」も今月で終わりとなります。
 「食」は人と人を繋ぐ大切なコミュニケーションの場です。食事を毎日作り、飽きもせず家族の皆は食べていますが、食は生きるための精神的な健康感にも大きく影響しています。毎日の繰り返し調理は大変ですが、美しい、美味しい、楽しい食事を家族のために提供していることは最高に幸せなことかもしれません。健康の維持増進に寄与する料理、疾病の予防・治 療に必要な栄養バランスが保たれている料理、それはまさに皆様が作って食べている家族のための飽きない家庭料理であり、郷土料理であり、行事食なのです。ただその調理の食材をしっかり選択して賢く調理して食べることが重要です。
 そのためには私たちが提唱している日本型薬膳の考えを毎日の食事作りに導入して下さい。家庭での食事作りにおいて、日本型薬膳が隅々まで広がり、芽吹いて健康長寿延伸に寄与します事を心から祈っています。

3.中医学の甘味食材を使用した薬膳とは

 中医学を基本とした薬膳に使われている食材には、薬物と同様に一定の性味があります。そして食材の五味には酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(しおからい)の5種類と淡味があります。これらは味覚のみでなく、臨床の症状反応によって分類されます。特に甘味は、補益、和中・緩和作用、滋養・強壮作用があります。そして人体の衰えを補養すると言われています。
 1996年中国上海中医薬大学にて、薬膳料理に使用する食材を文献より整理して、それらの食材を五味によって分類しました。食材の五味の中の甘味が3分の2を占めておりました。中医学の五行学説では、甘味は脾・胃の動きを調節するといわれ、薬膳に使う食材は消化吸収機能と関係が深いことが明らかとなりました。そして、食材の帰経による分類では帰経は胃が22.5%と最も高い数値を示し、次に胃の表裏関係にある脾が15.4%で、五行説で脾を克するといわれる肝が12.3%でした。中医学の基礎理論では脾・胃では「後天の本」といわれ、健康を維持・増進させるためには脾・胃が非常に重要であると考えられています。五行説によると、脾・胃の味は甘味とされ、甘味は脾・胃の働きを調整します。したがって、薬膳に使用される食材の多くは、脾・胃の働きを活発にさせると考えられます。
 中国料理、日本料理、西洋料理のコースの最後は甘い料理が出ます。これはとても健康のために意味があるという事なのです。

4.春の甘味食材を使用した薬膳

(1)日本のお餅を使っての草餅

 昨日、唐津市浜玉町の江戸時代より続く飴源に行って参りました。
 大学栄養科学部の調理部門スタッフ全員でバスハイク。春は名のみの風の寒さよと歌詞を口ずさみつつ風流ただよう玉島川を観ながら、春爛漫の中で唐津焼に盛られた摘み草料理と川魚料理に舌鼓で口福でした。最初によもぎ茶でおもてなしでした。
 よもぎは草餅に用いる馴染みのある薬草です。中国や韓国でもよもぎ茶として利用されています。中医学では艾葉(ガイヨウ)として主に止血作用がある生薬として使われています。女の子の成長と幸福を祈る3月3日のお雛祭りに欠かせない、菱餅や草餅。菱餅は赤(桃の花)、白(雪)、緑(草)の3色が基本と思われがちですが、明治時代以前は白と緑の2色だったようです。さらに平安時代には、菱餅や草餅の緑に、母子草(春の七草のゴギョウ)とよもぎが使われていたそうです。よもぎは古くから民間薬として知られ、葉の香気が強いため、雛祭りには邪気を払うよもぎ入り草餅を食べる習わしがあったようです。

(2)中国で人気の雪花酥(シェーファーソー)

 上海中医薬大学を卒業されて本学の大学院、薬膳科学研究所で熱心に学び、私が退職する年の最後の留学生の邱奕慧氏が日本を旅立つ日にプレゼントしてくれた雪花酥。
 マシュマロを使いヌガーのようなファファサクサクな菓子です。フライパン一つで手軽で簡単に作れます。ホワイトデーのお返しにぴったりの菓子です。

(3)台湾の大根餅

 台湾からの留学生の陳氏が何度も日本人の私達のために健康に良いと言われる点心を作ってくれました。薬膳料理を学びたいと大学院に入学され、美容と薬膳の研究に取り組んでくれました。彼女が作った台湾の客家 大根餅は絶品でした。添加物はほとんど使用せず、米を使い、大根を細切りにして蒸した一品。
 私は水の代わりに大根をすりおろして使いました。大根の香りや味がとてもすっきり素晴らしく、美味でした。台湾では酢醤油や柑橘系のジャムをつけると言われていました。

(4)トルコの大人気のバフラヴァ

 トルコは大地震で大きな被害を受けています。そのトルコはアジアとヨーロッパの中間地点であり、世界有数の親日国です。私たちのできる事は、と考えさせられますね。
 トルコの料理は世界三大料理の一つであり、魅力的なトルコを訪問した長女より、酸味のある刺激的な甘さの菓子、バクラヴァのレシピを紹介してもらいました。それをアレンジして、超簡単に仕上げました。冷凍パイを使い、生地の間にピスタチオ、ナッツ類を挟んで焼き、レモン汁入りのシロップと蜂蜜をたっぷり染み込ませたパリッと、中はソフトな菓子ができあがりました。

(5)韓国のトッポッキー

 お餅「トック」を甘辛い「コチジャン」で煮込んだ韓国の屋台料理、大人には懐かしい料理ですが、子ども達には大好きなおやつだそうです。
 韓国料理研究家の李秀子先生と太宰府天満宮主催の留学生の料理交換会で出会って40年。何度も韓国を訪れ、韓国料理を学び沢山のお料理をいただきましたが、このトッポッキ―には最近出会ったのです。屋台に行ってなかったんですね。作り方は簡単シンプル、お餅と野菜を甘辛いタレで煮込むだけ。是非お楽しみ下さい。
 韓国の「宮廷女官 チャングムの誓い」好きなドラマです。韓国料理である薬膳を通して韓国の文化が理解できる素晴らしいドラマです。知人の韓福麗先生が料理の監修をされ、私たちもお手伝いの依頼のあった懐かしいドラマです。

(6)南イタリアのニョッキ―

 イタリアの南部のプーリア州の町、オリーブとトマトとイチジクで有名なアルベロベッロの子ども達のおやつです。
 バチカン最後の日本人シスター叔母のファティア竹内街子氏と、トゥルッリと呼ばれる円錐形の屋根と白い壁の家に宿泊しました。15年前になりますね、日本に留学されたというマリアさんのマンマに手打ちパスタやソースを学びました。世界ウルルン滞在記でも指導されたそうです。
 耳たぶの形をした手打ちパスタ、オレキエッテは有名ですが、今回はじゃがいもとカボチャ入りのニョッキを紹介します。日常、不足している栄養素を含む野菜や芋類そして豆類をゆでて裏ごしして小麦粉と混ぜてスプーンやフォークで形を整えて茹でたら出来上がり。栄養バランスの良い料理で日本の子ども達のおやつにも最適です。トマトを煮込んだトマトソースを添えると食欲も増します。

(7)ペルーのピカロン風ドウナッツ

 鹿児島県指宿市の開聞山麓の花と香りの店の園長宮崎泰先生とは 45年前に出会い、香りやハーブの指導をいただいております。宮崎氏は1963年3月3日に横浜港より東京大学アンデス地帯学術調査団としてペルーへ出発されました。10数年滞在し、サンマルコス大学で専門を学びながら地方の薬草や食材、料理の研究もされていました。
 今年の3月3日で60年目になるという事で記念してペルーでの学びや食事、ハーブについてペルー物語の本を出版予定です。ペルーはワールドトラベルアワードの世界で最も美食を楽しめる国であり、いくつもの最優秀賞をとっています。世界で絶賛される料理は素晴らしい食材とハーブがあるからです。以前もペルーのピカロンについては紹介しましたがポピュラーなお菓子なのです。
 大事な事を私は書き落としていました。ペルーの子ども達のピカロンはカボチャやさつま芋のドウナッツでハーブや香料の香りを取り入れている事、そして揚げた後に黒砂糖やそのシロップやシナモン、蜂蜜をたっぷりつけて食べる甘くて美味しいおやつなのです。

一陽来復の健康学:今後はマスク着用の判断は基本的に個人が決めることになります

令和5年2月10日に新型コロナウイルス感染症対策本部から「マスク着用の考え方の見直し等について」、下記の方針が示されました。
●着用は個人の判断に委ねることを基本とし、政府は感染防止対策としてマスクの着用が効果的である場面などを示し、一定の場合にはマスクの着用を推奨する。
●マスクの着用は個人の判断に委ねられるものであるが、事業者が感染対策上又は事業上の理由等により、利用者又は従業員にマスクの着用を求めることは許容される。
●このマスク着用の考え方の見直しは、3月13日から、学校におけるマスク着用の考え方の見直しは4月1日から適用する。
 つまり、3月13日からマスク着用は基本的に個人で着用するかどうかを決めることになります。飲食店などは、事業者が利用者又は従業員にマスクの着用を求めることは許容されるとされていますが、現場では混乱が予想されます。
 欧米の研究者がこれまでの感染防止対策の効果を総括した研究報告を発表しました。それによると、マスク着用は感染発症を抑える効果はあまり見られないという結果でした。ただし、研究内容を詳細に調べるとマスク着用者はいつもマスクを着用していなかったことが判明したため、現時点では結論はでないとコメントされています。一方、米国でマスク着用の効果を示した興味深い研究があります。マサチューセッツ州は公立学校における全州共通のマスク着用の中止を2022年2月に実施ました。しかし、マスク着用を継続したいくつかの校区があり、2月以降の新型コロナウイルス感染症の発症率をマスク着用を中止した校区と比較しました。その結果、マスク着用中止校区の生徒および職員はマスク着用継続校区に比べ、人口1000人あたり45人も多く患者が発症していることがわかりました。つまり、マスク着用継続は感染防止効果があるという結果でした。  5月からは新型コロナウイルス感染症はインフルエンザと同じ5類感染症(感染症法が定める感染症の5類型のうちの1つで危険性が最も低いとされるものです)になります。5類になると原則、一部が自己負担になりますが、当面は公費での負担を継続した上で段階的に見直していく方針となっています。感染流行はいまだに終息していません。マスク着用や手洗い励行はまだまだ大切だと思われます。

参考文献
1)Cochrane Database Syst Rev. 2023 Jan 30;1(1):CD006207.
2)N Engl J Med. 2022 Nov 24;387(21):1935-1946. doi: 10.1056

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