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2023年1月 冬の日本型薬膳

目からウロコの調理学

1月 冬の日本型薬膳

1.はじめに

新年明けましておめでとうございます。
正月は一年の始まりで心が新たになります。昨年の暮れは私も家の内外を清めるために掃除を一生懸命しました。幼少の頃、祖母や母と「すす払い」をして、隅々まで掃除後、お正月のお飾りをしていた頃を懐かしく思い出しています。
令和3年4月には、現存を危ぶまれる地域の祭りや郷土の料理など食文化を幅広く保護することを狙いとした無形文化財と無形民俗文化財などの文化財保護法の一部が改正され、令和4年4月1日より施行されています。
今月は日本の伝統的食文化、日本の行事食であるお正月料理を継承するためにも、少し情報を紹介させていただきます。まさに旬の食材を活用した1月の行事食や郷土の食こそが日本人のための健康に寄与する薬膳そのものなのです。
日本の伝統的なお正月は床飾、掛物、祝物、塗三方、鏡餅、お銚子、屠蘇酒、組盃、重詰とお雑煮など準備していました。現在、あまり形式的なことは行わないお正月ではありますが、正月用の器や飾り道具のある家庭では1年に1度、1回は出して使いたいものですね。

※床飾とお正月料理:床飾りは山海の宝物を三方に盛り合わせます。これらの食材を料理したものが正月料理なのです。餅、橙、干柿、勝栗、鮑、昆布、伊勢海老、数の子、ごまめ、ほんだわら、そして冬の野菜。それぞれの食材や料理に理由をつけ縁起をかついでお正月を楽しんできました。そこには新年の多幸を願う心がその料理の名前に付けられあらわれています。

ごまめ(田作り):かたくち鰯は畑の肥料として使われていたので、五穀豊穣を願い、尾頭付を食べる、こまめで達者にという願いからの意。

数の子:鰊の卵、腹にたくさん卵を持つことから子孫繁栄を願っています。

黒豆:田夫ともいい、田を作る人達が働いて黒く塗った顔、まめのように(健康にまめに働けるように)とかけています。

昆布:養老昆布を書き、喜ぶにかけています。海藻類は栄養的にも必要不可欠です。

勝栗:祝い肴として、勝ってくることをくり返す意味を含んでいます。

:多良という字を書いて、良い事が多くありますようにの意。

:不老長寿の効果があると古代から重要な食物。

海老:腰が曲がるまで健康でありたいとの意。

:目出鯛、めでたいとかけて人の上に立つような人になりたいと願う心。

牛蒡:叩きごぼう、開きごぼう、生命力が強いといわれ昔の人の体験から使用されました。

雑煮:正月の1日から3日までの3日間が晴れの日といわれ、餅と野菜を煮て各家庭で祝える煮物として食べられてきました。元旦の朝、井戸から最初にとった若水をくみ、神に供え、この水で餅や野菜を煮て食べていました。

また、ゆずり葉やうらじろをお正月には使いますが、葉が交互についていることから親から子へ代々ゆずるという意味で使われてきました。特に橙は取らないで木におくと色が青くなり、代々繁盛するということでお正月に使用されます。

※屠蘇酒:日本では平安時代初期から宮中で行われ、民間に広まった蘇(悪鬼)を屠むる意。各家庭で薬草を袋につめて大晦日の夜、井戸につるし清められて、正月の朝、袋を酒に入れていただいたものです。

※鏡餅:三種の神器の神鏡の形をつくりこれを重ねて代々重なるように願う心。 餅は晴れの日の食物として欠かせない食品なのです。

2.牛肉の焼き方を美しく科学する

 牛肉の色はミオグロビンとヘモグロビンと呼ばれる色素タンパク質です。
加熱すると牛肉の食味も風味も変化します。つまり牛肉のタンパク質の凝固、収縮により肉汁とともにイノシン酸などのうま味成分が溶出し強く感じられるようになります。
また、加熱により、牛肉の結合組成の破壊で脂肪が組織外に溶出するとまろやかな食味がかもし出されます。
 高温で焼くことで牛肉のタンパク質や脂肪が分解して揮発性のアルデヒドアルコール、ケトン、有機酸が生じ香りが良くなります。またアミノ酸などのアミノ化合物と調味料や脂肪の酸化物などのカルボニル化合物とが反応してアミノカルボニル反応を起こしてよい香りが生じて美味しさが増します。
焼き加減の目安は内部温度がレア(55~60℃) 鮮赤色、ミディアム(65~70℃) ピンク色、ウェルダン(70~80℃) 全体的に灰褐色。好みで焼き色は選んでください。基本はミディアム(65~70℃) ピンク色がお勧めです。
調理のポイントは肉を冷蔵庫から出して常温で30分置き、塩はうま味を引き立てるために不可欠です。時間がたつと、浸透圧により、水分が出るので、焼く直前に塩、胡椒をします。
焼くときはフライパンにニンニクのスライスしたものでよくこすります。次に油を入れ、表面温度は200℃以上の高温にして、肉を入れるとジューッと音が出たらOK。
牛肉の表、裏、横の四面を強火で3~5分焼きます。200g程度の焼いた肉はアルミホイルで包み、5~7分置きます。外側から内側に熱が移動して中心まで予熱効果が期待できます。この方法は省エネルギーにも繋がります。

3.今月の献立

お正月に準備されている食材を使用して、今年は一味変えた簡単、美味しい、ヘルシーな料理をご紹介いたします。

1)牛肉のエスニック風味

 牛肉をお好みの香辛料をまぶして表面をキツネ色に香りよく美味しく焼いて、レタスや季節の野菜や果物を添えた一品。たれは美味しく、中医学で体を温める食材、生姜、ネギ、ニンニク、唐辛子を醤油、酒、醤油、胡麻油と混ぜて合わせたものです。

2)ピザ風もち

 餅をフライパンに少しの油を敷いて両面焼き、家庭にある食材でピザ風味に仕上げて、召し上がってください。老若男女皆が大好き一品です。

3)胡麻辛子れんこん

 皮をむいて茹でたれんこんの穴の中に辛子めんたいや白味噌、卯の花を詰めて、丸ごと天ぷら風に油で揚げます。熊本の辛子レンコン屋さんに40年前に教えていただいたレシピです。1㎝程度にスライスするとお酒やビールのお供に最高です。

4)納豆とちりめんの湯葉春巻き

 納豆とねぎ、ちりめんを混ぜて春巻きの皮や湯葉に巻いて両面油で揚げた簡単一品です。

5)アヴォカードの芝エビ詰め

 芝エビを皮付きでレモンを1切れお湯に入れて茹でて、皮をむいたエビをマヨネーズや黒胡椒で香りをつけてアヴォカードの上に詰めた簡単ヘルシーそしてお洒落なサラダ。

一陽来復の健康学:新型コロナウイルス感染症の対策はこれまでとかわらない

 とうとう福岡県でも新型コロナウイルス感染症の患者数が1万人を超えました。予想通り再び第7波のように感染者が増える時期になりました。マスク着用を撤廃した米国でも急速に新型コロナウイルス感染症の患者数が増加しており、マスク着用を再び検討し始めました。新型コロナウイルス感染症の感染を防ぐ一番良い方法は、これまでも書きましたが、マスクと空気の換気です。密接、密集している場合はマスク着用が重要です。換気の悪い空間にいる場合は、マスク着用だけでなく必ず空気の換気を行うことが予防効果を高める方法です。つまり、予防対策はかわりません。是非マスクを着けましょう。その場合、フィット感が良く、継続して着用できる最も保護力の高いマスクを着用することが推奨されています。
 ではワクチンは感染を防ぐ効果はどうなのかということですが、ワクチンを接種している人でも感染することは判明しています。ワクチンの最大の効果は重症化予防です。65歳以上や基礎疾患がある方は、ワクチン接種を検討してみてください。

健康一口メモ

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  • 麦飯を美味しく健康的に食べるには

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