6月の家庭で日本型薬膳
はじめに
今年の6月6日は二十四節気の9番目で芒種(ぼうしゅ)で、6月21日が10番目で夏至です。
この芒種の“芒”は稲や麦の穂の先端のトゲ状の突起を言いますが、6月は芒のある種を蒔く時節であり、田植えを始める重要な時期でもあるのです。従って芒種の季節は始まりの季節だと言われ、お稽古を始めるのに縁起が良いと言われます。「一粒万倍日」と呼ばれ一つの籾から万倍に増え大きな結果が帰ってくる良い日だと言われています。
母親の勧めで、私も十代から15年近くお茶とお菓子が大好きで小倉の亀井民子先生に茶道を楽しませていただきましたが、今回、茶道のお稽古を再開するために花菖蒲が咲き始めた太宰府天満宮に参拝して、お菓子処の藤丸の店主に6月の和菓子を学び作っていただき、京都の光悦寺の山下昭子先生のもとへ行って参りました。
若い学生に日本の伝統食文化を伝承継承するためには茶道は不可欠であり、このストレス社会の人たちに癒しの一杯のお抹茶と和菓子を届けたいと考えています。
皆様も是非、何か一つ挑戦されませんか。
鹿児島県の奄美大島は梅雨入りしたとの事ですが、中医学を基本にした薬膳では季節を春、夏、長夏、秋、冬に分け、長夏は夏と秋の間の暑く湿度の高い時です。
長夏は陰陽五行学説で「土」に属して脾や胃と関係が深いとされています。まさに日本では梅雨時。体の外から暑邪と湿邪と呼ばれる邪気が入ると体調不良になりやすく、少しむくみも気になります。体内の水分を湿を取り除く事が重要です。
私達が学生の教科書として書いた「薬膳と中医学」のテキストには詳しく紹介していますが、清熱利潤作用のある寒性の食材がお勧めです。西瓜、胡瓜、冬瓜などの瓜類、空豆、グリンピースなどの豆類、ヨクイニン、ひげを含むトウモロコシなど。
食事と老化は密接な関係があり、老化予防には選ぶ食材や調理方法の工夫が重要です。対象が人間ではありませんが、カロリー制限と同様にAGESを制限しないと寿命が延びないという報告があります。
老化を促す要因に糖化があり、多くの量の糖とたんぱく質の加熱で反応して、終末糖化産物(AGES―Advanced Glycation End Products)エージーイーが生成されます。
食材を加熱して調理するとAGESの値は上がり、昭和大学医学部の山岸昌一教授は生物→煮物→揚物→焼き物の順に上昇すると、特に和食の煮物料理のサバの味噌煮、ブリ大根、肉じゃがなどが理想的であると紹介されています。ご参考までに。
水を媒体として加熱する煮物は、煮汁の少ない料理と煮汁の多い料理があります。
煮汁の少ない煮しめ、煮つけなどの調理ポイントは、料理の煮汁は、魚貝類や肉類や野菜類など材料の1/3か1/4あれば大丈夫です。煮えた時はほぼ煮汁はない状態なので、加熱中に煮崩れしないように混ぜたり落し蓋が必要です。落し蓋がない時はアルミフォイルを丸く蓋のように形を作り、数か所お箸で穴を数か所あけて使用してください。
煮汁の多い含め煮や煮込みの調理ポイントは、味付けは薄く、ガスを止めても余熱を利用して加熱すると省エネルギーに繋がります。少し固めでもテクスチャーや味もしばらく置くと美味しく出来上がります。野菜や豆類は軟化には85℃から90℃の温度が必要です。しかし食材の味付けの調味料の拡散は50℃以上あれば大丈夫です。
1)レッド玉葱と空豆のピラフ
玉葱が旬の季節になりました。 玉葱には、ケルセチンと呼ばれる健康増進に寄与するポリフエノールが含まれています。特に紫の玉葱には、ポリフェノールも多く含まれ、アントシアニンという色素も含み、辛味が少なく柔らかくサラダにお勧めです。 今回は横にスライスして塩、胡椒をしてバターで炒めて、米を炊くときに入れて仕上げます。 旬の空豆は、中医学で五味は甘未、帰経は脾、胃。利尿作用があり、湿邪を取り除き脾や胃の 働きを高めてくれる食材です。グリングリンに茹でてピラフに添えてください。フサのまま焼くと蒸したようにフックラ仕上がります。ビタミンB1,B2,食物繊維も含んでいます。
2)季節の肉じゃが
旬の玉葱、じゃがいもやスナップエンドウを使用して、煮物の代表的な肉じゃがを紹介しました。牛肉を美味しく食べるために工夫しています。
3)初夏のかき揚げ
ビールにお似合いの衣が少ない、エビと香り最高の三つ葉とグリンピース入りのかき揚げを紹介しました。
グリンピースは、五味は甘未、帰経は脾、胃。脾と胃の働きを整え、湿を利尿により排泄します。
4)鯛の香り潮汁
スーパーマーケットボンラパスの魚売り場で、鯛の頭を2パック購入していると50%引きで1切れ100円程度。どのように調理すれば美味しいと聞かれ、男性の高齢者に調理方法をお伝えすると、1週間後にまたお会いして美味しかったとお礼を。この潮汁を友人のy先生に届けるとやはり大変喜んでいただきました。是非お試しください。
5)6月の水無月
京都の「夏越えの祓い」の行事の和菓子で、三角の外郎に邪気払いの小豆をのせた水無月は習慣的に食べられていました。
25年前、福岡市和菓子組合の若手の富貴の松本氏、蛸松月の松尾氏、兎月の白井氏などが水無月を伝承文化として作り、販売の共同催事をしたいと夢を語り、試作品に何度も舌鼓を打たせていただき今日に至っています。本当に素晴らしい!!
今回、家庭でも簡単に作れる水無月風和菓子を紹介しています。
マスクは公衆衛生上、感染症予防に重要な手段であり、どんなマスクでもないよりはましであることを忘れないようにしましょう。厚生労働省から5月20日付けでマスク着用についての指針がでましたので、下記にまとめます。
1.屋外でのマスク着用について
2.屋内でのマスク着用について
3.子どものマスク着用について
またマスクには微生物が付着している可能性があるため、はずすときの注意点を図示します。