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2022年3月 春の薬膳 広島県福山市の郷土食

目からウロコの調理学

2022年3月 春の薬膳 広島県福山市の郷土食

(1)広島県について

広島県は中国地方の中心付近に位置し、北部の山間地域は寒冷な気候を持ち、南部は温暖な瀬戸内海式気候となっています。このような地形的に特徴のある風土から「日本の縮図」と呼ばれています。
広島市は、1945年8月6日に人類史上初めて原子爆弾が投下された街として世界的にも知られていますが、現在では中国・四国地方最大の産業都市として復興を遂げ、国際平和文化都市として平和への願いを全世界に発信し続けています。
また、宮島には厳島神社があり、県内にあるこれらの世界遺産には国内外から観光客が集まり、多くの祈りが捧げられています。
広島県東南部にある福山市は、穏やかな気候と豊かな自然に囲まれています。私、三成の先祖代々が眠るお墓もこの福山市にあり、コロナ以前は、日本各地に住む親族と集まりお参りをしていました。
福山市の海岸沿いに位置する鞆の浦は、古くから潮待ちの港として有名で、日本最古の歌集「万葉集」にも鞆の浦を詠んだ和歌があるようです。 その風光明媚な景観からハリウッド映画やジブリ映画の舞台などにも選ばれている場所です。

(2)郷土の料理

2022年も3月を迎えます。春の魚といえば鯛。日本のハレの縁起のいい食材です。鯛といえば鞆の浦を思い出します。今回は福山市を懐かしみながら旬の鯛料理をご紹介します。
鯛は旨味が豊富で、グルタミン酸やイノシン酸のバランスがよく、グリシンやアラニンも含まれているので旨味が増強されています。口の中でよく噛んで呈味成分を唾液中に溶けださせてご賞味ください。

1) 鯛茶漬け

穏やかな瀬戸内には良質な真鯛が生息しています。その新鮮な真鯛の定番の美味しい食べ方は鯛茶漬け。
鯛には胡麻醤油だれがおすすめで、そのマリアージュを楽しむためには、鍋に酒、みりん、醤油を入れてひと煮立ちさせて冷やします。料理に使う酒やみりんは、必ず煮切ってアルコールを飛ばして使用してください。次にすりたての白胡麻を入れ、鯛の薄切りを入れて味をなじませます。元博多全日空ホテル総料理長西田弘氏は壱岐のご出身で、新鮮な鯛はやはりお茶漬けが一番と言われ、食べる直前に胡麻醤油に卵黄を入れると乙な味になると。是非お試しください。茶碗にご飯を盛り、鯛を乗せてわさびと海苔を天盛りします。鯛の甘味を引きたたせるのはやはり煎茶が一番、鯛とお茶がお似合いです。厚みのある脂がのった鯛茶漬けは、その一品だけで満足度も高いですね。
魚臭の除去法は、トリメチルアミンをマスキングする事ですが、先人の知恵?胡麻醤油だれこそが鯛の刺身を美味しく食べるための秘訣。

2) 鯛の蕪蒸し

次の一品は、鯛の蒸し料理。魚肉のたんぱく質は生でも消化はよいのですが、加熱は衛生的に安全で、形や風味やテクスチャーを変化させてくれるので嗜好性はアップされます。
蒸す操作は、100℃の水蒸気が食品表面で同温の水に変化するとき約2.3kj/gのエネルギーを放出する現象を利用していますので、強火で蒸すと蒸気の量が多くなり材料に衝突する回数も多くなり食品へ伝わる熱量も多くなるのです。また消火後も蒸し器内の余熱で中心部まで火が通るので省エネにも寄与する調理操作です。
今回は、ご家庭でも簡単に作ることができる鯛の蕪蒸しを紹介します。まず、鯛に酒と塩をかけて5分おきます。人参は梅ねじりに切って茹でておきます。三つ葉は5秒茹でます。グリーングリーンになったら水にさらします。蕪はすりおろしてザルで水気をきります。卵白を泡立てたら、塩と片栗粉を入れて蕪と合わせます。昆布に酒と水をかけて準備しておきます。器に昆布を敷き、鯛を乗せて強火で5分間蒸し余熱4分。彩りよく人参、銀杏、三つ葉を飾って出来上がりです。蕪の優しい口当たりにほっこりできます。

3)鯛のあら炊き

我が家の食卓にも、度々登場する鯛のあら炊き。相性の良いごぼうと一緒に強火で一気に仕上げていきます。美味しい調理方法を紹介いたします。
鯛は塩を振り、鍋にお湯を沸かし、鯛を入れて沸騰したら冷水にとり、鱗を丁寧に取り除きます。鍋にごぼうをしき、鯛を入れ、酒とみりんを入れ強火で10分煮ます。最後に醤油を入れて、生姜を入れ煮上げます。
鯛を皿に取り出し残りの煮汁に水、酒を足してレンコン、里芋をいれて煮ます。皿に、鯛と野菜を色良く盛り付けます。最後に針生姜を天盛りします。
あら煮のポイントは、煮汁の量を少なくし加熱も短時間にすることです。煮汁にエキス成分の溶出を防ぐため、表面のたんぱく質を早く熱凝固させます。私は水を入れず、酒とみりんで強火で蒸し煮のようにまず煮ます。短時間で煮るためには落とし蓋をします。煮崩れと調味のむらを防いでくれます。最後に濃い口醤油を周りに絡ませるようにして、できあがり。

4)蕪の千枚漬け

福山市の洞林寺で、坊守からいただいた蕪を使った漬物が忘れられなかったので、こちらをアレンジした一品をご紹介します。蕪は春の七草の一つとして知られていますが、蕪は味にクセがなく、根にも葉にもビタミンCを含み、特に葉にはベータカロテンも含まれています。蕪は皮をむき半分に切り、薄く半月切りにし塩をして重しをしておきます。水分が出たら、さっと洗います。ボールに入れて、酢、砂糖、みりんを入れて昆布、唐辛子を入れて、重しをします。味がなじんだら、皿に入れて盛り付けます。箸休めにもぴったりなので、ぜひお試しください。

5)保命酒とキンカンのジェラート

鞆の浦随一の特産品といえば「保命酒(ほうめいしゅ)」です。全国でも鞆の浦だけで造られる薬味酒で、江戸時代に醸造が開始されました。十三種類の漢方薬、麹米・もち米・焼酎を合わせた十六味を漬け込んで造ります。独特の甘みを持つこの保命酒は、嗜好品としてはもちろん、その薬効も珍重されていたようです。上質なみりんから作られ、アミノ酸も豊富に含んでいます。
この保命酒を使ったデザートを紹介します。まず、金柑を半分に割って種を除きます。ジンジャーエールと桃をビニール袋に入れて冷凍庫で凍らせておきます。ミキサーに全て入れて、ジェラートを作ります。ジェラートを器に入れたら、金柑や菓子を飾り付けます。

一陽来復の健康学:3回目のワクチン

 新型コロナウイルス感染症による死亡者数が過去最多となり、オミクロン株の流行は猛威を奮っています。イスラエルや欧米諸国では、2回目のワクチン接種が4か月過ぎると抗体価が低下し、感染予防や重症化抑制の効果が弱くなることがわかったため、昨年7月から3回目のワクチン接種を開始しました。その結果、次のようなことがわかりました。1回目、2回目にファイザーのワクチンを接種した人で、3回目がファイザーのワクチンを接種した人とモデルナのワクチンを接種した人で摂取後の抗体価を調べたところ、モデルナを摂取した人の方が抗体価が高く、かつ抗体価の低下も遅くなっていました。副反応は、モデルナの摂取量が半分になったのでファイザーの副反応の出現率と同じ程度でした。現在、日本の集団接種ではモデルナが中心ですが、このようにモデルナの摂取後の副反応は1回目、2回目より改善されており、抗体価も高く維持されるため、できるだけ早く申し込んで3回目を摂取することが大事です。ファイザーを摂取する予定の人も早く摂取する計画を立ててください。3回目の接種によって新型コロナウイルス感染症による死亡率が90%予防できることが分かっています。イスラエルは4回目を摂取しているようですが、4回目のワクチン接種効果はあまりないようで、新たなワクチン製造が待たれるところです。欧米では国民の3回目の接種率が25%~55%程度ですが、日本は2月16日時点で12%と低い摂取率です。今後、3回目の接種率が急速に進むことが大事です。
 論文紹介に書きましたが、健康的な植物性食品は新型コロナウイルス感染症の予防に効果があると欧米から報告されています。実は、昨年デルタ株が流行している春の時期は沖縄県と東京都のコロナによる死亡率は感染者1000人あたりで比較すると、8人と13人となり東京都は沖縄県の1.5倍も死亡率が高い結果です。沖縄県は医療機関が多いわけではありませんから、これは重症化しにくい何か理由があるのではないかと思われます。沖縄県は長寿県で有名ですが、沖縄県では健康的な植物性食品から抗酸化物質を豊富に摂取しているためではないかと推測されています。このような食事は腸内環境をよくしていくので、免疫にも関係しているのかもしれません。

参考文献
1) アメリカ疾病予防管理センター: https://www.cdc.gov/library/covid19/12172021_covidupdate.html
2) BNT162b2 vaccine booster and mortality due to COVID-19external icon. Arbel et al. NEJM

健康一口メモ

  • 健康的な食事はやはりバランスのとれた食事

    健康的な食事はやはりバランスのとれた食事

  • 健康的な植物性食品はコロナを予防する

    健康的な植物性食品はコロナを予防する

  • 日々の運動は認知機能の向上に役立つかも

    日々の運動は認知機能の向上に役立つかも