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2020年2月 冬の薬膳 ヤマイモ料理

山芋=ヤマイモ

ヤマイモはジネンジョ、ダイジョ、ヤマノイモ3種あり、蔓性の多年草です。
ジネンジョは日本原産で、形は長く、粘りがあり、山に自生しています。
幼少の頃、父や父の友人と家の山に登り、枯れた蔓を捜すように言われてヤマイモを見つけました。道具は鉄の長い棒で先は鍬の形だった記憶があります。穴を深く掘り、折れないように注意を払い、根気よく掘ってとっても貴重な食材だなーと思いました。
栄養的にはカリウム、食物繊維、サポニンを含み、デンプン分解酵素のジアスターゼ(アミラーゼ)も含まれています。そして、ぬめり成分となる水溶性食物繊維も含まれ、胃粘膜を保護してくれます。また、ヤマイモは疲労回復、免疫力アップ、便秘解消に効果が期待できる成分が含まれています。

調理のポイント

ヤマイモは、唯一生食できるイモなので、栄養成分を損失することなく食べることが出来ます。今回は簡単に美味しく調理できる料理を紹介します。
まず、ヤマイモをすりおろして50℃程度(酵素の働きをいかす温度は40~50℃)の出汁を入れたとろろご飯、またオムレツに入れても和風の美味しい一品ができあがります。また、生のまま線切りにして三杯酢で和えた酢の物は簡単な一品です。
山芋料理をする場合の下処理は重要です。まず、山芋のひげ根をガス火であぶって焼きます。焼くことで、ヤマイモに含まれるかゆみの原因となるシュウ酸カルシウムが抑えられます。皮をむいた後、酢水につけて調理すると最後まで美しく白色を保ちます。

中医学を基本とした薬膳

ヤマイモは中医学の薬膳の考えでは脾臓を強め、肺の機能を助け、腎臓を養潤する作用があるといわれています。山薬粥を長期間食べ続けると身体が健康になり長寿をまっとうできるといわれます。特に山薬粥は中国古代から、多くの医学書に記載があり、「山薬粥は長期間続けて食べると慢性化した下痢を癒すことができる。米を一晩、水につけておき、山薬を炒めて少量の砂糖を加え、胡椒少々を入れ、これに白米を入れて粥をつくる」と書いてあります。山薬粥はその効果の面から別名を「三宝粥」ともいわれています。

最後に、中村学園は昭和29年から学園祖中村ハル先生の食と教育に対する情熱を継承し、学内外を通じて国民の食生活の改善・向上に一貫して努めています。平成7年からは食療薬膳分野の権威である上海中医薬大学との学術交流が始まり、25年以上にわたり教育・研究に関する交流を続けております。2006年、2017年の2回にYAKUZEN EXPOを開催し約16,000人の方々にご来場いただきました。国、地方自治体、産業界のご協力の賜物で博覧会を通じた薬膳ネットワークの構築により、食と健康に関わる研究活動、商品開発、情報交換、共同事業などが展開されています。今後も中村学園大学より、人生100年時代!!日本人の健康寿命延伸を目指して、美味しくヘルシーな日本の食文化とアジアの食文化を融合した日本型薬膳を発信し継承してまいります。

日本の薬草と健康:ヤマイモ

ヤマイモといえば、自然薯や八百屋さんでよくみかけるナガイモを思い浮かべる人が多いでしょう。実は、これらは正確にいえば、それぞれヤマノイモ(Dioscoru japouicaTHUNB)とナガイモ((Dioscoru opposita THUNB)に分けられます。ヤマノイモは日本の本州以南の山野に自生する植物です。一方、ナガイモの原産地は東南アジアとされ、日本には自生しておらず畑で栽培されています。サトイモと共に南方型農耕文化として縄文中期に日本に伝来したと考えられています。栽培の文献的記録としては貝原益軒の「和爾雅(1688)」、宮崎安貞の「農業全書(1688)」などに見られるようです。ヤマノイモは古くから日本で食されており、料理関係の古文書を調べた報告によると、文献に採録されたヤマノイモ料理は350あり、そのうち「煮物」が最も多く109、次いで「汁物」の54、「菓子」が48、「焼物」が36であり、「生」は32でした。興味深いことに、現代の調査では今の人は「生」で食べているという回答が一番多い結果でした。生で食べられるのは他の芋類には見られない特性ですが、これまではヤマノイモには強力なアミラーゼが含まれており、デンプンの消化を促進すると考えられていましたが、ヤマノイモのアミラーゼ活性はサツマイモより低く、ヤマノイモのデンプンの消化性は低いことから、ヤマノイモが生食されるのは粘稠性の高い食感、つまり口あたりや喉ごしの良さによるものと考えられています。ヤマノイモやナガイモは漢方薬としても使用され、山薬という名称で呼ばれています。その効能として、「腎気を益し、脾や胃を健やかにし、下痢を止め、皮,毛を潤す」とされています。多くの人が精がつく食べ物と思われているように、老化防止になる腎の気を増し、脾(消化器系)を元気にして消化吸収機能を上げる働きがあると考えられています。
参考文献①:新井貞子、菅原龍幸、ヤマイモの食用法に関する食文化的研究、日本食生活学会誌Vol.10No.1,21-28,1999、②株式会社ウチダ和漢薬、生薬の玉手箱

  • やはり緑茶は健康にいい

    お茶を飲むことは、生活習慣病予防の効果があるという中国からの報告です。対象者は約10万人で、1988年からお茶の摂取頻度を調査し、その後追跡して生活習慣病の発生を調べました。その結果、習慣的にお茶を飲む者(週に3回以上)(A群)は、ほとんど飲まない、または週に3回未満の頻度の者(B群)に比べ、心臓病や脳卒中の発症リスクが20%低下、致命的な心臓病と脳卒中の死亡リスクが22%低下、全死因のリスクが15%低下しました。健康寿命を比較すると、A群はB群と比べ、心臓病や脳卒中の発症年齢は1.41年遅く、また1.26年長く生きることがわかりました。この結果はお茶を飲む頻度を1回だけ調べた情報によるものですが、その後お茶の頻度が変化した可能性があります。そこで、よりお茶の影響を検討するために1996年に再度お茶の調査を行いました。その結果、週3回以上ずっとお茶を飲んでいる者はそうでない者に比べ、心臓病や脳卒中の発症リスクは39%低く、心臓病と脳卒中の死亡リスクは56%低く、全死因のリスクは29%減少しました。つまり、ずっとお茶を飲み続けていることは、循環器疾患の予防効果があることがわかりました。そして、飲んでいるお茶の種類を検討したところ、これらの効果は、緑茶で見られましたが、紅茶では効果はありませんでした。

    European Journal of Preventive Cardiology, January 8, 2020

  • 筋肉機能低下を防ぐにはビタミンDが大切

    筋肉の機能低下をできるだけ防ぐことは、健やかな老後を送るために大変重要なことです。この筋肉の機能低下がビタミンDで予防できるという英国からの報告です。対象は60歳以上の4,157名(平均年齢69.8歳)です。筋肉機能の評価には握力を測定するとともに簡易身体性能調査票で筋肉パフォーマンスを調べました。ビタミンDの摂取量は血清中の25-ヒドロキシビタミンDを測定し、濃度が30nmol/L未満をビタミンD欠乏としました。その結果、筋肉機能が低下している者の割合はビタミンD欠乏者は40.4%おり、ビタミンD正常者は21.6%でした。筋肉パフォーマンスが低い人の割合は、ビタミンD欠乏者が25.2%、ビタミンD正常者が7.9%でした。ビタミンD欠乏者は、正常者に比べて、筋力と筋肉パフォーマンスに障害のある可能性が明らかになりました。ビタミンDが豊富な食品はサケ、マグロ、サバ、ブリなどの魚、干ししいたけ、きくらげなどがあります。ぜひこれらの食品からビタミンDを取り、骨を強くするとともに、筋力の低下を予防しましょう。

    Clinical Interventions in Aging 2019:14 1751–1761

  • 唐辛子は心臓病予防にいいかも

    唐辛子は、アジアの料理のみならず地中海の料理でもよく使う食材です。この唐辛子が心臓病の予防効果があるというイタリアからの報告です。対象は22,811名のイタリア成人で、2005年に健康調査を行い、その中の食生活調査で唐辛子の摂取量を調べました。その後平均8年間の追跡調査を行い、この対象者の死因を調査し、唐辛子の摂取と心臓病の死亡リスクとの関連を検討しました。唐辛子を習慣的に週4日以上摂取している人は、全く摂取していない人に比べ、虚血性心疾患の死亡リスクが44%減少し、脳卒中は61%も減少しました。また全死亡のリスクも33%減少することが明らかとなりました。唐辛子は循環器疾患の死亡リスクに大変有効であることが示唆されましたが、興味深いことは、唐辛子を習慣的に食べている人は、その食事が健康的な地中海料理の食事内容であっても、そのような食事でなくても、すなわちあまり健康的と言えない食事をしていても、循環器疾患のリスクが低いということです。それほど循環器疾患予防に効果があると言えるのかもしれません。唐辛子にはカプサイシンなどさまざまな抗酸化成分が含まれており、このような成分が役立っている可能性があります。

    Journal of the American College of Cardiology, Volume 74, Issue 25, 2019, 3139-3149