生姜は熱帯アジアを原産とするショウガ科の多年草で根茎は香りや辛味があり、古くから香辛料として世界中で使用されてきました。現在では、香辛野菜として日常の料理に野菜の一品として用いられています。
日本には、平安時代に中国から伝わったと言われています。江戸時代には、生姜を蜂蜜に漬け込んで高級保存食とされていました。
生姜の辛味成分はジンゲロールで、熱を加えたり、貯蔵の過程でショウガオールに変化します。ジンゲロールは、体を温める作用があり、発汗を促すとされ、風邪や冷え性に効果的だとされています。生姜は、抗菌作用、抗酸化作用、発熱抑制、アンチエイジングにも有効であると注目度が高まっています。
爽やかですっきりとした香り成分のジンギベレンやシネオールは、胃腸の機能を高めて、食欲をアップさせると言われています。
生姜の辛味成分や香り成分には殺菌効果もあるためか、寿司や刺身にも添えられています。特に魚の臭いのマスキング作用に効果的です。
また、タンパク質分解酵素であるジンベインは、タンパク質の消化吸収を助けてくれるため、肉類に生姜をすりおろして漬けておくと臭みは消えて柔らかくなります。料理に合わせて使い方を変えて、家庭の常備薬として生姜の味・香・辛味を楽しんでください。
熱帯アジア原産の植物で、昔から医療に用いられてきました。日本では単にショウガ根茎を乾燥させたものを「生姜(ショウキョウ)」、湯通しまたは蒸して乾燥させたものを「乾姜(カンキョウ)」としています。一方、中国では新鮮な科根茎を「生姜」、乾燥させたものを「乾姜」と呼んでいます。つまり中国での「生姜」は新鮮なひねしょうがを意味しています。ここでは中国の呼び名のもので紹介します。
生姜には消化機能促進、制吐作用などがあるジンジャロールが含まれています。中国医学的には、散寒解表作用(発汗を促し風邪に対処)、温胃止嘔作用(胃の冷えによる嘔吐を温めることで止める)、解毒作用(蟹や魚の食中毒による嘔吐、下痢を対処)などがあります。解毒では紫蘇と一緒に用いられることがあり、寿司屋さんでよく生姜や紫蘇がみられますが食中毒予防を考えた知恵でしょう。乾姜は消炎、鎮痛作用の強いショウガオールが含まれており、これは生姜(ショウキョウ)のジンジャロールがショウガオールに変化したものです。中国医学的には、温中散寒作用(消化器系が冷えて痛み、消化不良や下痢などに対処)、温肺化痰作用(肺が冷えて、咳や呼吸困難、背部の冷えなどに対処)があります。
これからますます寒い季節になります。ひねしょうがをすりおろして生姜湯を作り、身体を温めて寒い冬を乗り切りましょう。
参考文献:中医臨床のための中薬学 神戸中医学研究会
韓国からの報告です。国民健康保険制度の健康スクリーニング調査における心臓病を持たない40歳から79歳までの成人約16万人を対象として、2003年、2004年における健康診断時に、歯磨きについて、歯周病の有無、歯磨きの回数、歯医者への受診回数、歯医者での歯磨き処置、失った歯の数などを聞きました。この歯磨きの状況とその後の心房細動(脳梗塞などの原因となる病気)、心不全の発生との関連を検討しました。追跡期間中に心房細動になった人は4911人、心不全になった人は7971人でした。これらの病気と歯磨きの状況との関連を分析すると、歯磨き回数が1日0回から1回の人に比べ、3回以上の人は心房細動の発生リスクが10%低く、心不全は12%低い結果でした。これらの心臓病の発生率が低い理由として、良く歯磨きすることで、歯と歯肉の間に存在する細菌を減らし、菌が血液中に入っておこる炎症を防いでいるのではと考えられています。歯周病は糖尿病のリスクでもあることがわかっており、歯磨きはただ虫歯予防だけでなく、生活習慣病予防に重要な習慣です。
European Journal of Preventive Cardiology 2019 Dec 1:2047487319886018.
炭水化物の多い早朝の朝食は糖尿病患者の血糖改善にいいというイスラエルからの報告です。これまで糖尿病食は、1日に6回、少量でかつ同じカロリーの食事(6M)をすることでしたが、今回1日のうちで朝早い時間にパンなど炭水化物の多い朝食、昼食は充実した食事、夕食はでんぷん質、スイーツ、果物を含まない少量の食事の3食を食べてもらい(3M)、6Mの食事と3Mの食事で体重、血糖の変化を比較しました。対象は糖尿病患者28名(肥満者でHbA1cは平均値が8.1%)で2群にわけ、それぞれ6Mと3Mの食事を12週間食べてもらいました。その結果、3Mの食事をした患者さんは、6Mの食事をした患者さんに比べ、有意に体重が減少(平均5.4kg減少)、HbA1c値も減少、空腹時血糖も減少しました。また使用するインスリン量も低下しました。早朝に食べることで体内時計に関連する遺伝子が働き、インスリン分泌を増やし筋肉への糖の取り込みを改善し糖代謝が良くなるのではと考えられています。人類は太陽が昇るとともに活動して沈むとともに休む生活を何百万年と続けてきたので、このような生活リズムの体質になっており、それに合わせた食事がいいのかもしれません。
Diabetes Care 2019 Dec; 42(12): 2171-2180.
現在、日本ではタンパク質の推奨量は成人男子が60~65g、成人女子が50gです。つまり、この量を取ると、ほとんどの男女が1日に必要なタンパク質の量を満たすということになります。脂肪の過剰摂取は健康に悪いことは多くの方がご存知ですが、タンパク質はなんとなく健康にいいというイメージがあります。そこでタンパク質をより多く取ることは何か健康にいいことがあるのかどうかを、多くの研究成果をまとめて検討した米国の報告を紹介します。関連の論文1500編以上からこのテーマの研究を選び最終的に論文18編を選定して検討しました。その結果、運動しているなど身体に負荷がかかっている場合は、タンパク質を多く摂取することは、除脂肪体重(体重から脂肪組織の重量を差し引いた量で、筋肉量が多くを占めています)を増やす効果があることがわかりました。つまり簡単にいえば筋肉量を増やす効果があるということです。しかし、運動など負荷がかかっていない場合にタンパク質をより多く摂取しても、健康には何ら良い効果はみられませんでした。この結果はタンパク質を必要以上に多く取っても必ずしも健康になれるというわけではないことを示唆しています。現在日本では、高齢者のフレイル(身体的機能や認知機能の低下が見られる状態)予防のために、タンパク質摂取の重要性が指摘されています。高齢になるとタンパク質の摂取量が不足ぎみになります。そのためフレイル予防には1日の摂取量を推奨量以上維持することが望まれています。
Advances in Nutrition, nmz106, https://doi.org/10.1093/advances/nmz106