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2019年2月 冬の薬膳 イギリス料理

イギリス料理の特徴

イギリス料理ははたして美味しい?といつも疑問に持ち、旅をしていました。やっと謎が解けました。イギリスの料理の特徴は、材料そのものの質の良さ、そして日本と同じように季節の旬の食材を利用して、味や風味を生かすため、過度な味付けはせず、簡単な調理方法で料理が作られているのです。イギリスの魚介料理は川や湖や近海でとれる新鮮な魚が食材となっています。フィッシュ&チップスも然りで、シンプルで簡単に作れる調理品であり、イギリスのシンボル的存在の国民的料理なのです。また、イギリス人は肉類をよく食べるため、ローストの技術が発達しています。ローストビーフはその代表といえ、そして、その付け合せでパブメーニンで有名なヨークシャープディングがあり、地方名のついた料理も多くあります。イギリスは地方色豊かな田園地帯が多く、生き抜くためお互いに助け合って暮らしています。そのため、本質的には食材は家庭で栽培、飼育して手作りする伝統も残っており、料理は素朴であり、華やかであるというよりは、郷愁漂う料理といえます。そのイギリス料理には香辛料は重要であり、肉類の風味をよくしたり、塩漬け肉や傷みかけた肉のにおい消しなどに使われてきました。クローブ、ジンジャー、シナモン、そしてコリアンダー、クミン、カルダモンはスープや煮込み料理に不可欠です。また一方で、東インド会社の社員たちがカレー粉やチャツネを持ち帰り、辛味の料理がイギリス人の食事にも溶け込んでいきました。インドで生まれたウスターソースもイギリスで使われていました。
イギリスは16世紀以来、富の国として、世界各国から最高の食材、香辛料、紅茶やコーヒーなども輸入されていました。昨年スリランカへ旅をしてヌワラエリアで最高の紅茶に出会えました。この紅茶もイギリスに輸出され愛されているそうです。イギリス人は芳醇なこくがある紅茶が大好きで、朝も昼も夜も飲用され、「ティー」といえば食事の代名詞となっています。上流社会の社交に欠かせなかった「アフタヌーンティー」をぜひ一度経験されますことをお勧めいたします。紅茶の美味しい入れ方を紹介いたします。日本のお茶と同じように軟水を使い、水が沸騰する直前でティーポットをよく暖めます。紅茶の量はカップ1杯にスプーン1杯の割合で入れ、ポットの分として1杯追加します。湯はあまり沸騰させず注ぎ、3分30秒置きます。ミルクを入れるときは紅茶の香りを大事にするイギリス人は冷たいものを好むそうです。また、イギリスといえばサンドイッチ!!イギリスのケント洲の港町サンドイッチの領主サンドイッチ伯爵4世ジョン・モンターギュが食事が中断されずにトランプを続けたいと考えたのが始まりだといわれています。現在は、種々のパンが用いられ中身の食材の組合せをいろいろと変えて楽しんでいます。 私のお気に入りで簡単なイギリス料理を紹介します。

世界の郷土料理と健康:イギリス編

 イギリスの料理といえば、何を想像されるでしょうか。まずい?そういう評判はよく聞きます。しかし、ミシュランスターレストランもあり、料理にも力を入れているようです。イギリスが世界に誇る公衆栄養政策として、減塩政策があります。イギリス人の食生活の中で、摂取している食塩の実に75%は加工食品から取っていました。そこで、日本のように加工食品の塩分をすぐに減らし、減塩食品を売り出すことを考えたかというと、そういうことはしませんでした。なぜなら、塩分を減らすと美味しくなくなるのでその商品が売れなくなり、食品企業は困るからです。英国には科学者が中心となった減塩に関する機関があり、ここでさまざまな調査がなされました。その1つに人間は6週間かけて少しずつ減塩していくと減塩に慣れるという調査結果がありました。この事実から食品会社には5年間かけて40%減塩するようお願いし、国民が知らない間に減塩商品がイギリス全土に広まることになりました。その結果2001年から2011年の間に、イギリス人の1日当たりの食塩摂取量は1.4g減少しました。1.4gを僅かと思うか、すごいと思うか。それはこれによって起こったすばらしい結果が物語っています。この事業により心臓病や脳血管疾患の発症数が13000人減り、年間医療費が2000億円以上削減できたのです。今では、世界の国々がイギリスに続けて同様な減塩政策を進めています。イギリスの料理はもともとまずかったから減塩できたというわけではないと思いますが、味にうるさい日本ではなかなか実行できそうもない政策です。

  • 健康的な食事とは

     世界にはさまざま民族が暮らしていますが、いまだ文明社会とあまり接触していない社会では生活習慣病がみられないという興味深い事実から、そういう民族の食事を調べて、生活習慣病予防の食事を模索するという研究があります。その研究の対象はアマゾンの原住民のチマネ族で、30歳から91歳までの1,299名の食事を調査しました。対照部族として、229名のモセテン族(30歳から84歳)を選び、同様に食事調査をしました。その結果判明したことは、摂取カロリーは2,433-2,738kcalであり、炭水化物、たんぱく質、脂肪から取るエネルギーの比率はそれぞれ64%、21%、15%でした。他の栄養素摂取はカルシウムやビタミンD、ビタタミンEなどは不足していましたが、カリウム、マグネシウム、セレンはモセテン族の2倍摂取していました。また特筆すべきは、一日平均17,000歩も歩いていたということです。つまり、この栄養状態や運動状態は、昔の日本人によく似ています。しかし日本人はその後、炭水化物の摂取量が減少し、脂肪の摂取量が増加して、毎日たくさん歩くことも少なくなりました。これから日本人が健康になるには、脂肪を減らし、歩くことを増やすことが大事であることを示唆しています。

    The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 108, Issue 6, , Pages 1183–1195

  • 断食は体重減少に効果

     1週間のうち1日に必要な栄養素量をある程度少なくした食事を4日間、かつ昼食と夕食を抜く断食を3日間行うと体重減少効果があるというオーストラリアの研究です。対象は肥満度指数(BMI)の平均が32のかなり肥満の女性88名です。平均年齢50歳。次のような4つのグループに分け、8週間それぞれの食事をしてもらいました。A群は連続しない週3日に朝食後24時間断食をする群で、断食をしない日の食事量は必要量の70%、B群は同じように断食をしますが、断食をしない日の食事量は必要量の100%、C群は毎日必要量の70%の食事、D群は毎日必要量の100%を摂取しました。その結果、A群が他群に比べ体重や体脂肪を有意に減り、総コレステロール、LDL-コレステロールも有意に低下しました。B群も対照群に比べて体重と体脂肪は減少しましたが、C群と同程度の結果でした。つまり毎日食事を必要量の70%制限する食生活より、昼食と夕食を断食しかつ断食しない日は必要量の70%の食事をする食生活が一番効果が高いことがわかりましたが、昼食と夕食の断食を3日間行いかつ断食しない日は通常の食事をする食生活でも効果があることがわかり、断食は体重減少に有効であることが示唆されました。

    Obesity (2019) 27, 50-58.

  • 焼酎は食後高血糖を抑える

     芋焼酎で有名な鹿児島からの報告です。対象は健常人6名で芋焼酎、ビール、日本酒、水を別々の日に夕食(約710カロリー)と一緒に飲んでもらい、それぞれの飲料を飲んだときの食後血糖を比較しました。飲むアルコール量はビール、焼酎、日本酒、それぞれ40 gのエタノールを含んでいます(日本酒で2合程度)。結果は、ビールが最も食後血糖が高く、芋焼酎が最も低い値で、有意な差がありました。インスリン分泌も同様に芋焼酎が最も低い結果となりました。なぜ、芋焼酎は食後高血糖を抑制するのか、どのような成分があるのかはまだ研究途中のようですが、食後血糖をできるだけ上げないようにするには、どの種類のアルコールを飲むといいのか考えてもいいかもしれません。

    PeerJ, DOI 10.7717/peerj.1853