加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現しやすくなります。このような状態を「フレイル(虚弱)」といいます。フレイルは男性より女性で多く、年齢が上がるにつれ増加します。フレイルの診断基準は、
①体重減少、②疲れやすい、③歩行速度の低下、④握力の低下、⑤身体活動量の低下
が上げられています。フレイルになる原因は、何らかの理由で食が細くなり低栄養の状態が続くと、体重減少、筋力低下が起こります。そのため疲労感や歩くのが遅くなるなどの症状が出やすくなります。その結果、あまり動かなくなり、食欲もでず、食がますます細くなっていきます。この悪循環を断ち切るためには、毎食良質なたんぱく質を25~30g程度摂取することです。つまり、夕食だけ肉や魚を食べても筋肉を増やすことはできず、朝食や昼食にもこれらの食品をしっかり取ることが大事です。筋肉合成に関係するアミノ酸サプリメントも市販されていますので、それを利用するのもいいです。そして、やはり歩くことです。特に今より少し大股で歩くといいです。歩く速度が早いほど寿命が長いことが判明しており、脚力を鍛え続けることが大事です。
栄養・運動・休養は健康の源です。
このコーナーでは、世界の最先端の栄養・運動・休養に関する情報をお届けします。
是非、健康生活の参考になさってください。
朝食と動脈硬化の関連を報告したスペインの研究です。循環器疾患など持たない男女4000名以上を対象に食生活調査を行い、朝食の摂取エネルギーが1日の総摂取エネルギーの何割合になるかによって3群に分けました。
①5%未満(朝食を食べない人やコーヒーなどしか飲まない人:朝食欠食群)、
②20%以上(朝食を量もきちん取っている人:朝食摂食群)、
③5-20%の間(朝食は食べるが摂取エネルギーが低い人:低エネルギー朝食群)。
その結果、動脈硬化症は、朝食摂取群よりも朝食欠食群や低エネルギー朝食群で多く見られました。また朝食欠食群は、3群のうちでBMI、血圧、血中脂質と空腹時血糖が高かいことがわかりました。朝食欠食者に心臓病が多い理由の1つは動脈硬化によるということが示唆されました。朝食はしっかり食べることが大切です。
『米国心臓学会誌』
少食は寿命の延長に効果があることがわかっていますが、育毛にも効果があるかもしれないという動物実験の報告です。実験はマウスを2群に分け、一群は好きなようにえさを食べ(自由群)、他の1群はそのえさの摂取カロリーを自由群の60%に抑え(カロリー制限群)、両群の毛や体重の変化を比較しました。その結果、カロリー制限群のマウスの体重は自由群の約半分でしたが、毛はより滑らかで濃く長い毛を持つようになりました。その理由として、カロリー制限をすると皮下脂肪が少なくなり体温を保つためには、毛を豊かにして保温効果をカバーする必要があるのではないかと考えられました。
『細胞レポート』
米国心臓協会は、循環器疾患のリスクを減少させる7つの生活習慣を発表し、これらは、脳血管疾患や心臓病を予防するだけでなく、認知機能低下の予防にも効果があるといわれています。
7つの習慣とは
①血圧の管理、②コレステロールの調整、③正常な血糖値の維持、④運動、⑤健康的な食事、⑥適度な体重の維持、⑦禁煙です。
脳を健康に保つためには、できるだけ人生の早い時期から健康的な習慣を実践することが勧められています。というのは、心臓病や脳血管疾患の原因となり、さらに認知機能の低下にも繋がる動脈硬化は幼少期から始まっているからです。三つ子の魂百までといわれていますが、三つ子の生活習慣も百歳までの長寿と関係しているのです。
『脳卒中』