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2016年2月 冬の薬膳 洋食

冬季の自然条件は、「寒」であり、人体の表面の比較的浅いところで、寒邪を受けやすい。
例えば手足が冷えたり、人体の気や血のめぐりが滞って痛みが現れたりする。また、冷えると人体の表面が収縮し熱が外へ出にくく、寒や発熱の症状が起こりやすくなる。

予防には、熱性や温性の食材が効果的であり、腎経に入る食材、また体を温める効果のある、クルミ、枸杞、白果(ギンナン)、ナマコ、大豆、黒胡麻、栗、山芋、鳥骨鶏、桂皮などが適している。これらを冬野菜の代表選手である大根、人参、牛蒡などと組合せて調理することが重要である。

献立

カラダにやさしい食品

日常私たちが食べている食品には、健康を維持・増進する大きな力が宿っています。
このコーナーでは、食品の持つすばらしい力を紹介します。

  • みかん

    《保健機能》これまではみかんといえばビタミンCというイメージがありましたが、温州みかんにはカロテノイド色素の一種であるβ-クリプトキサンチンが多く含まれています。
    このβ-クリプトキサンチンは人を対象にした疫学研究により、肺がんのリスクを有意に低下させる効果が明らかとなりました。この他前立腺がん、乳がんの予防効果も期待されています。また糖尿病、関節リウマチや炎症性関節炎においてもリスク低減効果が報告されています。β-クリプトキサンチンの含有量は、オレンジは温州みかんの10%程度しか含まれていないので、身近な果物で日本人の健康増進にみかんは大いに役立つと思います。

  • ブルーベリー

    《保健機能》ブルーベリーがアントシアニンを含むことは多くの方がご存知でしょう。暗いところに入ると、少し時間が経たないと物が見えない暗順応の改善にアントシアニンは効果があることがわかっていますが、最近の研究によりさまざまな目の疾患に効果があることが次第に明らかになってきました。高齢者に多い白内障はアントシアニンとビタミンEの摂取で白内障の進行が抑制されたことが報告されています。また成人の失明原因の第1位である緑内障においても眼圧低下や眼底血流の増加がみられ、今後眼疾患予防が期待される食材です。

  • バナナ

    《薬膳効能》潤腸通便作用、清熱潤肺(空咳などの症状を緩和)
    《保健機能》便通改善のオリゴ糖を含みます。オリゴ糖は難消化性の糖質で、腸管内の善玉菌であるビフィズス菌などの発酵を促し、その結果酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が生産されます。これら短鎖脂肪酸は腸内環境改善に大変有用な物質で、大腸の蠕動運動が刺激され排便も促進します。

健康一口メモ

栄養・運動・休養は健康の源です。
このコーナーでは、世界の最先端の栄養・運動・休養に関する情報をお届けします。
是非、健康生活の参考になさってください。

  • 仕事の成果を上げるには同じ釜の飯を

    食事状況と仕事の成果の関連を検討した米国の研究です。1年以上にわたり50以上の消防署の管理者395名を対象に、消防隊の仕事の成果とそこの消防隊員の食事状況について回答してもらいました。その結果消防隊員が一人で食事をする消防隊と一緒に食事する消防隊について、消防隊としての仕事の成果を比較したところ、一緒に食事をしている消防隊の方が仕事の成果が優れていることがわかりました。チームワークがいいから一緒に食事をするのか、一緒に食事をするからチームワークが良くなるのか、その両方なのかはよくわかりませんが、同じ釜の飯を食べることは良好な人間関係を構築するためには現代でも大切なのでしょう。

    出典:Human Performance, 28:281-306, 2015

  • 野菜のオリーブオイル炒めは健康メニュー

    長寿食で有名な地中海料理。オリーブオイル、野菜、果物、ワイン、豆類、魚、種実類 などを中心に多彩な食材を使った料理です。この中で野菜はもともと抗酸化成分を含み、生活習慣病予防に有用な食材ですが、地中海料理のように野菜をオリーブオイルと一緒に調理することで野菜の抗酸化性がどのように変化するのかを検討した研究です。調理法はオリーブオイルで揚げる、ソテーする、水で茹でる、オリーブオイルと水の混合液で茹でるの4つ。結果は、揚げるとソテーする調理では抗酸化物質のフェノール化合物が食材の中で増加し、抗酸化活性も増加しました。オリーブオイルのフェノール化合物が油で調理することで野菜に移行したようです。これが地中海料理が長寿食である理由の1つかもしれません。

    出典:Food Chemistry, 188:430-438,2015

  • 太ったウエイターにご注意

    レストランでデザートやお酒を注文するとき、注文を取るウエイターの人が太っているかどうかが注文に影響するという米国の研究。米国のハンバーガーショップなど60店舗のレストランで、夕食を食べにきた497名のお客さんを対象に、夕食のデザートとお酒の注文の量を比較した。その結果、太ったウエイターが注文を取りにきた場合、痩せたウェイターに比べ、デザートを頼むお客さんは4倍以上、お酒を頼むお客さんは18%多いことがわかりました。店にとっては太った人を雇う方が売り上げが上がりそうですが、注文するお客さんは、ついつい食べ過ぎて肥満になるかもしれません。

    出典:Environment and Behavio, December 28, 2015