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2016年1月 冬の薬膳 和食

春の主気は「風」であり、「風は百病の長なり」と言われ、健康な状態であれば問題ないが、抵抗力が弱くなると人間を発病させる邪気となり、それが風邪になる。
「風邪」は、上昇や外向きの性質があり、体の上部、つまり頭、鼻、咽喉などを侵すと言われている。

これを抑えるには発汗作用のある、寒涼性で辛味の薄荷(ハッカ)や、温熱性で辛味のニラ、ショウガ、ネギ、それにクコの実、菊花、チンゲンサイなどが効果的である。

春は万物の芽吹きと成長の季節であるため、菜の花、アスパラガス、芹、ワケギ、グリンピース、タケノコなど、また旬の魚介類である白魚、いっさき、鯛、ハマグリなどを取り入れて調理することが望ましい。

献立

カラダにやさしい食品

日常私たちが食べている食品には、健康を維持・増進する大きな力が宿っています。
このコーナーでは、食品の持つすばらしい力を紹介します。

  • ネギ

    《薬膳効能》発汗解表作用があり、風邪の初期の発熱、頭痛などのときに用います。
    《保健機能》ネギ、ニラ、ニンニク、タマネギなどのネギ属の野菜は、刺激の強い独特の芳香性があります。含硫化合物やフラボノイドなどの成分を含むネギ属の野菜は胃がんの予防に効果があることが報告されています。また、胃がんの原因の1つとされているヘリコバクター・ピロリー菌に対して抗菌作用を示すため、この抗菌作用も胃がんの予防に役立っていると考えられています。

  • 《保健機能》酢の主な成分は酢酸ですが、酢酸は脂肪合成の低下と脂肪代謝の促進作用があり、それにより内臓脂肪の蓄積を抑制する効果があります。また、酢は糖質と一緒に摂取すると食後の血糖上昇を抑制する作用があります。そのため、同じご飯の量でもすし飯の方が、食後の血糖の上昇が抑えられます。また酢には静菌作用(細菌の増殖抑制作用)と殺菌作用(細菌数の低減化作用)の2つの抗菌作用があります。

  • 鰹だし

    《保健機能》鰹だしには抗酸化成分として、アンセリン、ヒスチジン、フェノール関連物質などが含まれており、抗酸化作用を発揮します。鰹だしを添加することで調理品の脂質酸化を防ぎ、生臭みの発生を抑えます。またアンセリンには、筋肉に蓄積された乳酸をエネルギーに変える作用があるため、筋肉疲労の軽減する働きが期待されています。

健康一口メモ

栄養・運動・休養は健康の源です。
このコーナーでは、世界の最先端の栄養・運動・休養に関する情報をお届けします。
是非、健康生活の参考になさってください。

  • 歯は健康のバロメーター

    東京大学の宮脇敦士先生らが発表された、歯周病は糖尿病のリスク要因という研究です。歯肉出血や歯がぐらぐらする、口臭があるなど歯周病の程度をスコア化して、これが高いほどその後糖尿病の発症率が高いという結果です。特に生活習慣病になりやすい年代である中高年の方にこの傾向がみられています。また歯がぐらぐらすることに注目すると、そうでない人にくらべより糖尿病の発症率が高い結果でした。日頃から歯のケアをすることは、生活習慣病予防としても大事なようです。

    出典:第74回日本公衆衛生学会総会

  • 魚が癌予防にいい

    青魚に多く含むエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸などの多価不飽和脂肪酸は心臓病など循環器疾患の予防に効果があることがこれまで報告されてきました。今回、これらの多価不飽和脂肪酸が膵臓癌の予防に効果があることを日本の研究者が報告しました。約8万人を対象に多価不飽和脂肪酸を多く含む魚の摂取量を調査し、魚の摂取量から多価不飽和脂肪酸の摂取量を推定して4グループに分けました。膵臓癌の発生率についてみると、摂取量が最低のグループに比べて、摂取量が最大のグループの発生率は約26%ほど少ない結果でした。近年、魚や海藻など海の幸が健康に良いことが多く報告されるようになりました。

    出典:Am J Clin Nutr. 2015 Dec;102(6):1490-7

  • 健康食品の安全性

    現在、多くの健康食品が市場に出回っていますが、健康食品による健康被害がでるケースがあります。しかし、健康食品を食べて体調などが悪くなった場合、その原因が健康食品なのかどうかを簡便にチェックする基準がなく、この度日本の研究者が評価方法を開発しました。それは、「健康食品を食べた後に体調がおかしくなったか」、「健康食品の摂取をやめると体調はもとにもどったか」、「可能なら再度同じ健康食品を食べると同じように体調がおかしくなったか」などの質問に対して「はい」であれば、その健康食品による健康被害である可能性があるというものです。健康食品にも安全性の基準が必要な時代となりましたが、基本的に自分の健康は自分で守ることが大事です。

    出典:BMJ Open. 2015 Nov 25;5(11)